· 

【完全解説】シリアルキラー「心理的欲求のもと長期間にわたり殺害を行う連続殺人犯」

シリアルキラー / Serial killer

心理的欲求のもと長期間にわたり殺害を行う連続殺人鬼


切り裂きジャックは、1888年の漫画誌『パンチ』で、ホワイトチャペルをうろつく幻、または社会的ネグレクト体現として、また社会的無視の体現者として描かれた。
切り裂きジャックは、1888年の漫画誌『パンチ』で、ホワイトチャペルをうろつく幻、または社会的ネグレクト体現として、また社会的無視の体現者として描かれた。

概要


シリアルキラー(連続殺人犯)とは、通常、異常な心理的満足感を得るために3人以上の人を殺害する人物のこと。ほとんどの当局が3人を連続殺人の閾値に設定する一方で、4人に拡張したり、2人に減らしたりすることもある。

 

また1ヶ月以上、数年、数十年にわたる殺害行為が行なわれる。一箇所で多数の人間を殺害する「大量殺人犯」や短期間で複数の場所で殺害を行う「スプリー・キラー」とは区別され、連続殺人犯は殺人と殺人との間に冷却期間があるものを指す。

 

心理的な満足感が連続殺人のシリアルキラーにおける「普通」の動機となり、ほとんどの連続殺人は被害者との性的接触を伴うものが多いが、連邦捜査局(FBI)の調べでは、連続殺人犯の動機には、内なる声に従う確信犯、スリル欲求、金銭、愉快犯などの場合もあると述べている。逆に一般的な殺人のような殺害対象への「怒り」を伴う殺人は少ない

 

「怒り」が動機となる殺人は、連続殺人よりも銃乱射や集団自殺のような大量殺人や津山事件のようなスプリー・キラーであろう。そのため、シリアルキラーと大量殺人、スプリー・キラーとは区別する必要がある。

 

シリアルキラーとは「内なる声(電波ともいう)」に従い、狙い目を付けたものを確信犯的正義で殺したり、蟻を踏み潰す幼児のように面白いので殺す純粋殺人なのである。シリアルキラーのタイプについては、後の説明する

 

殺害はいつも同じ手口で試みる場合が多い。被害者は、例えば、人口統計学的プロフィール、外見、性別、人種などの共通点があるかもしれない。

 

代表的なシリアルキラーは、ジャック・ザ・リッパー、アンドレ・チカティロ、テッド・バンディ、ジョン・ウェイン・ゲイシーが挙げられる。

 

また、シリアルキラーは、大量殺人やスプリー・キラーよりも話が作りやすためか、伝説となって何千年にもなって伝えられる。狼男や吸血鬼といった中世のモンスター伝説は当時のシリアルキラーを源泉に作られた話だろう。現代においては『羊たちの沈黙』『IT』などホラー映画の主題やホラーキャラクターの源泉元として大衆文化の中で積極的に取り入れられることが多い。

「殺人ピエロ」ことジョン・ウェイン・ゲイシーを元に制作されたペニー・ワイズ。
「殺人ピエロ」ことジョン・ウェイン・ゲイシーを元に制作されたペニー・ワイズ。

用語の起源


シリアルキラーという英語の用語と概念は、元FBI特別捜査官ロバート・レスラーが1974年にイギリスのハンプシャー州ブラムシルのポリス・スタッフ・アカデミーでの講義で「シリアル・キラー」という用語を使ったことに由来している。

 

また、作家のアン・ルールは、彼女の著書『Kiss Me, Kill Me』(2004年)の中で、この用語を生み出したのは、1985年に暴力犯罪者逮捕プログラム(ViCAP)システムを作成したLAPDの刑事ピアース・ブルックスにあると主張している。

 

ドイツ語の用語と概念は、犯罪学者のエルンスト・ゲンナートの論文「Die Düsseldorfer Sexualverbrechen」(1930年)が起源とされており、その中でピーター・キュルテンを「Serienmörder(連続殺人鬼)」と説明している。

 

オックスフォード英語辞典における「シリアルキラー」の最も古い使用は、小児性愛者を描いたドイツの表現主義映画『M』(1931年)について、ジークフリート・クラカウアーが論じた1960年代のドイツ映画の記事とみなされている。

 

著書『シリアルキラーズ』(2004年)の中で、刑事司法史家のピーター・ヴロンスキーは、レスラーが1974年に「連続殺人」という英語の用語を中で作ったかもしれないが、ジョン・ブロフィーの著書『殺人の意味』(1966年)に、連続殺人と連続殺人者という用語が出てくると指摘している。

 

ヴロンスキーの最近の研究によれば、連続殺人という言葉が最初に広くアメリカで一般的に使われるようになったのは、1981年春にニューヨーク・タイムズ紙に掲載されたアトランタの連続殺人犯ウェイン・ウィリアムスの説明で使われたという。

 

その後、1980年代を通じて、この用語は米国の主要な全国ニュース出版物の一つであるニューヨーク・タイムズ紙の紙面で233回にわたって使われた。1990年代の終わりには、この用語の使用は2514回にまで増加している。

歴史


歴史的犯罪学者は、歴史の中で連続殺人があった可能性を示唆しているが、具体的な事例は十分に記録されていない。

 

しかし、狼男や吸血鬼などのモンスター伝説が中世に実際に起きた連続殺人鬼に触発されて作られたとも言われている。アフリカでは、ライオンとヒョウ協会といった秘密結社による殺人事件が定期的に発生している。

 

最も確実な初期連続殺人犯は漢の景帝の甥の劉彭離である。中国の歴史家である司馬遷によると、彼は20~30人の奴隷や若者たちと略奪遠征に出て、人を殺したり略奪していたが、それはただの遊びのためだったという。

 

臣下の多くはこれらの殺人事件を知っていたが、犠牲者の一人の息子がようやく景帝に報告したは、彼の治世の29年目になってからだった。確認された犠牲者は100人を超えており、この殺人事件は国全体で知られており、人々は夜に家を出ることを恐れていたという。裁判で劉彭離は処刑宣告されたが、景帝が止め劉彭離は平民に降格され、湖北省竹山に追放された。

 

15世紀、ヨーロッパで最も裕福な男の一人であり、かつてジョーン・オブ・アークの戦友であったジル・ド・レーズは、周囲の村から誘拐して自分の城に連れてきた少年を中心とした農民の子供たちに性的暴行を加え、殺害した。彼の犠牲者の数は140から800人と推定されている。

 

ハンガリーの貴族エリザベス・バートリーはトランシルヴァニアの裕福な家系に生まれ、1610年に逮捕されるまでに650人もの少女や若い女性を拷問して殺したと言われている。

 

インドの暗殺集団タギーのメンバーは、1740年から1840年の間に百万人を殺害している可能性がある。強盗団ベーラムのメンバーは931人を殺害している可能性がある。

 

1886年に出版された著書『Psychopathia Sexualis』の中で、精神科医のリチャード・フォン・クラフテ=エビングは、1870年代に連続殺人を犯したフランス人のエウセビウス・ピエダネルという男の事例を紹介している。

 

1888年にロンドンで少なくとも5人の女性を殺害した近代的な連続殺人鬼と呼ばれている正体不明の殺人鬼ジャック・ザ・リッパー彼は警視庁による大規模な捜索と捜査の対象となり、その間に多くの近代的な犯罪捜査技術の進展があった

 

警察官の大規模なチームが一軒ごとに家宅捜査を行い、犯罪者を特定するためのマテリアルの断片を収集し、容疑者を特定して、追跡していった。警察の外科医トーマス・ボンドは、犯罪者の最も初期の人物像の一つを収集した。

 

リッパーの殺人事件はまた、ジャーナリストが犯罪の扱う際の重要な分水嶺となった。 歴史上初の連続殺人犯ではないが、切り裂きジャックの事件は世界的なメディアの熱狂を巻き起こした最初の事件であった。

 

ロンドンの富裕層の中で、経済的に困窮した女性たちがドラマチックに殺害され、都市部の貧困層の窮状にメディアの注目を集め、世界中で報道された。切り裂きジャックは、史上最も悪名高い連続殺人鬼とも呼ばれ、彼の伝説は、彼の正体について数百の説と多くの小説作品を生み出してきた。

 

H. H. H. ホームズは、1890年代初頭に少なくとも9人の犠牲者を出した、アメリカで最初に記録された現代の連続殺人犯の1人である。この事件は、ウィリアム・ランドルフ・ハーストの新聞に掲載されたセンセーショナルな記事によって、悪評を呼び、広く世間に知られるようになった。

 

同じ頃、フランスではジョセフ・ヴァッハーは11人の女性と子供を殺害して切断し、「フランスの切り裂き魔」と呼ばれるようになった。彼は罪を認めた後、1898年に処刑された

 

20世紀に知られている連続殺人犯の76%は米国人であった。

特徴


連続殺人犯の一般的に見られる特徴には、以下のようなものがある。

 

●精神疾患

彼らは様々な程度の精神疾患や精神病を患っており、それが殺人的行動の一因となっている可能性がある。例えば、精神的に病んでいる人は、自分が他人だと思い込んだり、他の存在に殺人を強要されたりするような精神病的な言動をする。

 

一部の連続殺人犯に共通する特徴と一致するサイコパスの行動には、感覚の追求、後悔や罪悪感の欠如、衝動性、コントロールの必要性、捕食行動などがある。

 

統合失調症などの大規模な精神障害の人とは異なり、サイコパスは正常に見え、しばしば非常に魅力的に見えることがあるが、これは精神科医のハーヴェイ・クレックリーが「正気の仮面」と呼んだ適応状態である。

 

●幼児期に虐待されている

彼らの多くは幼少期に家族から、情緒的、肉体的、性的に虐待を受けている。

 

●フェティシズム

連続殺人犯は、フェティシズム、部分性愛、またはネクロフィリアなど性的倒錯を持つ可能性が高い

 

●マクドナルドの3兆候

マクドナルドの3兆候に合致する。マクドナルドの3兆候は、特に連続犯罪との関連で、2つ以上の組み合わせが一緒に存在する場合、その後の暴力傾向を予測が伺われるという精神科医J.M.マクドナルドが発表した論文である。3兆候は以下のものである。

・多くは放火癖に夢中になる

・サディスティックな講堂が見られる。特に生熟に達しない子ども時代に活発的に動物虐待をしているかもしれない。

・60%以上は12歳を越えても夜尿症が治らない。

 

●いじめ

彼らは子供や青年期に頻繁にいじめられたり、社会的に孤立していた。 例えば、ヘンリー・リー・ルーカスは子供の頃に嘲笑され、後に周囲から多くの拒絶を万人を憎む原因として挙げている。ケネス・ビアンキは子供のころ、ズボンの中で放尿したり、痙攣を起こしたりしたためにからかわれ、ティーンエイジャーの頃には仲間から無視されていた。

 

●軽犯罪関与

詐欺、窃盗、破壊行為などの軽犯罪に巻き込まれた者もいる。

 

●不安定な雇用

多くの場合、彼らは雇用を維持が不安定で下働きの仕事に就く傾向がある。しかし、FBIは、「連続殺人犯はしばしば普通のように見え、家族を持ち、安定した仕事をしている」ともいう。

 

●低い知能

連続殺人者は一般的に平均または平均以下のIQとされている。連続殺人者の202人のIQのサンプルは、中央値のIQが89である。しかし、中にはテッド・バンディのようなしばしば平均以上のIQを持つものもいる。 

 

しかし、これらの基準から明らかに外れるものもいる。例えば、ハロルド・シップマンは社会的に成功した専門家(NHSで働く一般開業医)だった。彼は地域社会の柱と考えられていた。彼は子供の喘息クリニックで専門家賞を受賞したり、ITVのグラナダテレビのワールド・イン・アクションのインタビューを受けたりもした。

 

デニス・ニルセンは元軍人で公務員と労働組合員になっていたが、逮捕された時には前科はなかった。どちらもこれらの兆候を示したことはなかったという。

著名なシリアルキラー


●アメリカ

アイリーン・ウォーノス

アルバート・フィッシュ

エド・ゲイン

ジェフリー・ダーマー

ジョン・ウェイン・ゲイシー

テッド・バンディ

ヘンリー・リー・ルーカス

 

●ロシア

アンドレイ・チカティロ

 

●イギリス

・ジョン・ヘイグ

・ハロルド・シップマン

・切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)

・ソニー・ビーン

・グレアム・ヤング

・ピーター・サトクリフ

 

●ドイツ

・ペーター・キュルテン

・ヨアヒム・クロル

・フリッツ・ハールマン

・カール・デンケ

 

●フランス

・ジル・ド・レエ

 

●日本

・大久保清

・永山則夫

・宮崎勤

・酒鬼薔薇聖斗

 

殺人の動機


連続殺人犯の動機は、一般的に4つのカテゴリーに分類される。幻想型、ミッション型、快楽主義型、権力志向型である。しかし、どの殺人者の動機も、これらのカテゴリーの中でかなり重複している場合がある。

幻想型

幻想的な連続殺人者は、現実との断絶に精神病的に苦しんでおり、時には自分が別人であると信じたり、悪魔や神のような存在によって殺人を強制されたりすることもある。最も一般的な2つの型は「悪魔に強制された」か「神に強制された」である。

 

ハーバート・ミュリンは、ベトナム戦争でアメリカ人が犠牲になったことが、カリフォルニアに大地震が発生するのを防いでいると信じていた。戦争が終わると、ミュリンは父親がテレパシーで「自然への人間の犠牲」の数が多いカリフォルニアを海に突き落とすような大地震を遅らせたと伝えてきたという。

 

デヴィッド・バーコウィッツ("サムの息子")もまた、悪魔が隣人の犬を通して命令を伝え、殺人を犯すように指示したと主張している幻の連続殺人犯の一例かもしれない。

ミッション型

ミッション志向の殺人者は典型的に、ホームレス、前科者、同性愛者、麻薬使用者、売春婦、異なる民族や宗教の人々など、望ましくないと考えている特定のタイプの人々を「世界から排除する」として、自分の行為を正当化して殺害を行う。いわゆる確信犯である。しかし、彼らは一般的に精神病ではない。一部の者は社会変革を試みようとしている。 多くの場合、「社会の病気」を治すためだという。

 

使命感を持った殺人者の例としては、ジョセフ・ポール・フランクリンが挙げられる。アメリカの白人至上主義者で、ユダヤ人、白人、アフリカ系アメリカ人を排他的に標的にして、「人種戦争」を煽る目的で殺害した。

快楽主義

このタイプの連続殺人犯は、スリルを求め、殺害行動から快楽を得て、人をこの快楽達成のための使い捨ての手段として見ている。法医学心理学者は快楽主義的な殺人者の3つのタイプを識別した。 「欲望」「スリル」「慰め」だという。

性欲

被害者が死んでいるか死ぬ前であるかどうかに関わらず、性的目的の殺人者の主な動機はセックスであり、幻想が殺人に大きな役割を果たしている。

 

彼らの性的満足度は、被害者への拷問や切断の量と関係している。性的な連続殺人犯は、被害者を絶対的に支配し、コントロールし、権力を味わいたいという心理的な欲求があり、その欲求を満たすために拷問や痛みを与え、最終的には殺害する。

 

彼らは通常、ナイフや手など、被害者と密接な接触を必要とする武器を使用する。欲望の殺人を長引くと、次の殺人の間の時間がどんどん短くなったり、精神的な刺激のレベルが高まりより残虐かつ巧妙な手口になっていく。

 

ジェフリー・ダーマーは、美しく、従順で永遠の恋人を求めていた。欲望が高まるにつれ、彼はドラッグ、アルコール、エキゾチックなセックスの実験をした。彼の刺激への欲求の高まりは、被害者の手足を切断して頭部と性器を保存したり、また頭蓋骨に穿たれた穴に酸を注入したりして、彼の管理下で「生きたゾンビ」を作ろうとしていたことで実証された。

 

ダーマーはかつて「欲望が大きな役割を果たした。支配と欲望。最初にそれが起こってからは、それが私の人生を支配しているように思えた」とと話している。

スリル

スリルキラーの第一の動機は、被害者の痛みや恐怖を誘発することであり、被害者の恐怖と苦悶はキラーにおける刺激と興奮を呼び起こす。彼らは被害者を狩猟したり殺したりすることで得られるアドレナリンの興奮を求めている。スリルキラーは、ただ殺すだけために殺人を行う。通常、攻撃は長引かず、性的な目的はない。通常、被害者は見知らぬ人だが、一定期間尾行していた可能性もある。

 

スリルキラーは、長期にわたる殺人の休止が可能で、殺人方法を磨いていくうちに、殺人成功率が高まるようになる。多くの人は完璧な犯罪を犯そうとし、自分は捕まらないと信じている。

 

ロバート・ハンセンは人里離れた場所に 犠牲者を連れて行き、一度、逃がした後に狩りをして殺して楽しんだ。

 

カリフォルニア州サンフランシスコのベイエリアの新聞へ送られてきたゾディアックの手紙にはこう書かかれている。「殺すのはスリリングな体験だ。女の子とのセックスよりももっといい」

 

カール・ワッツは、1982年の犯行時に「興奮してハイになって、興奮して手を叩いて、これは楽しいことになりそうだと」と言う行動を起こしていたと生存した被害者が話している。斬殺、刺殺、絞殺、首吊り、溺死、窒息死、絞殺などがワッツの殺害方法だった。

利益目的

慰安殺人犯の主な動機は、物質的な利益と快適な生活である。通常、被害者は家族や親しい知人である。殺人の後、慰安人犯は通常、当局による疑惑が沈静化するように、再び殺人を行う前に一定期間待つ。このタイプはしばしば毒、特にヒ素を使って被害者を殺し、女性連続殺人犯によく見られる。

 

ドロテア・プエンテは社会保障費の小切手のために入居者を殺し、自宅の裏庭に埋めた。H・H・ホームズは保険金と事業利益のために殺した。日本でも保険金目的の殺人はよく見られる。

 

プロの殺人者(「殺し屋」)もまた、慰安的な連続殺人者とみなされることがある。リチャード・ククリンスキーは「殺し屋」として数万ドルを請求し、中流階級のライフスタイルで家族を養うのに十分なお金を稼いでいた。

シリアルキラーになる原因


幼児期における虐待やネグレクト


多くの連続殺人犯は、幼少期の発達で同様の問題に直面している。「ヒッキーのトラウマ・コントロール・モデル」は、幼少期のトラウマが成人後に逸脱した行動をとる土台になってるかということを説明している。

 

子供の環境(両親または社会のいずれか)は、子供の行動が殺人活動にエスカレートするかどうかを決定する大きな要因であるという。家族(または家族の欠如)は、子供の発達の中で最も重要な要素である。なぜなら子どもが日常的・習慣的に認識できる環境だからである。

 

承認欲求が、子どもが家族や仲間と社会的関係を築く上で影響を与えているが、連続殺人犯も親や性的パートナーなどの承認を求めようと行動する一般人と何ら変わらない。親や家族の一員への愛着の質は、これらの子供たちが社会のほかのメンバーとどのように関わり、価値観を持つかに重要な影響を与える。

 

Wilson and Seaman (1990)は、収監中の連続殺人犯を対象に研究を行ったが、彼らが結論付けたのは、彼らの殺人活動に最も影響を与えた要因は幼少期の家庭環境にあったという。連続殺人犯のほぼ全員が、離婚によって家庭が崩壊したり、子供をしつける親がいなかったりと、幼少期に何らかの環境問題を経験していた。

 

連続殺人犯の半数近くは何らかの身体的または性的虐待を経験しており、さらに多くの連続殺人犯は精神的なネグレクトを経験していた。ネグレクトは自尊心の低下につながり、子どもたちが自ら生み出し、コントロールしている空想的な世界の発展を促す

 

「ヒッキーのトラウマ・コントロール・モデル」は、親からのネグレクトがどのように逸脱した行動を促進するか、特に親がアルコール中毒や薬物乱用者で、その現場を見た場合にどのような影響を与えるかを説明している。

 

トラウマはその後、子どもが満足できる人間関係を発展し、また、彼らが受け取るラベルと戦うための方法を見つけない限り、さらに殺人的な行動に導く気質の形成を促していく。 子どもが誰からも支援を受けていない場合は、トラウマになった出来事から良い意味で立ち直る可能性は低くなる。

 

E.E.マッコビーが述べているように、「家族は、社会化のための主要なアリーナとして多くの人に認識されてきた」。

他者性のない空想的な世界の創造


親から受ける虐待を制御する力を持たない子どもたちは、ときとして、自分たちが逃れることのできる新しい現実を作り出す。この新しい現実は、彼らが完全に管理できるファンタジーとなり、彼らの日常的な存在の一部となる。

 

ギャリソン(1996)によると、「こうした子供の感情的・社会的発達は自己中心的な空想の中で発達するため、善悪の概念や他者への共感性の正常な発達が遅れ、子供は社会病質者になる。空想世界での目的が自分一人だけの欲求を満たすことにある場合、他人は自分の世界では何の悪事もできないし、また他人の痛みは何の意味もない」状態になるという。

 

そして、いずれ空想と現実の境界線が失われれるようになり、空想は支配権、コントロール、性的征服、暴力に変わり、最終的には殺人に至る

染色体の異常


最近の研究では、染色体の異常が連続殺人の引き金になるかどうか研究されている。ボビー・ジョー・ロングとリチャード・スペックの2人の連続殺人犯には染色体異常で注目された。

 

ロングにはクラインフェルター症候群(男性の性染色体にX染色体が一つ以上多いことで生じる一連の症候群)があった。スペックはXYY症候群だったと報告されている。実際、彼の核型は2回行われ、毎回正常だった。

 

ヘレン ・ モリソン、アメリカの法医学精神科医はインタビューで、いまのところ研究者たちは特定の原因遺伝子を特定できていないものの、連続殺人犯の大半は男性であるという事実は「男性の染色体構成に関する変化」に何らかの要因があると研究者たちを導く。