台湾亞文化「台湾サブカルチャーシーン」

台湾亞文化 / Taiwan subculture Scene

台湾サブカルチャーシーン


概要


「台湾亞文化」は、おもに台湾のインディーズ・シーンで活躍する台湾在住のアーティスト。画家、イラストレーター、マンガ家、現代美術家、写真家、人形作家、モデル、ミュージシャンなどジャンルは多様だ。

 

日本のカルチャー市場、漫画市場に限っていえば極めて小さい。評価が高く、期待されている芸術家であっても大半はインディーズ市場での活動でフルタイムの漫画家はほとんどいない。イラストレーションなど別の仕事をしながら、漫画を描いている。これは台湾に限らず、香港の漫画市場もほぼ同じである。

 

しかし、最近は台湾文化部が積極的に関与して芸術家を支援しはじめている。たとえば、フランスのアングレーム市で1月末に開幕する「第47回アングレーム国際漫画祭」に台湾パビリオンを出展し、インディーズの作家たちを紹介している。

 

また、中国本土に対する台湾における政治的、および表現の自由をともなう対抗文化・芸術の側面が強い。2014年に発生した「ひまわり学生運動」では、香港のデモアートとよく似たプロパガンダ芸術がたくさん作られた。社会的雰囲気は現在の香港と非常によく似ており、香港のデモ隊と共鳴している。

 

台湾インディーズ・シーンの代表的な作家として、ひまわり学生運動でひまわり学生運動の代表曲を作ったパンクロックの「滅火器」、最近日本での活動も目立つようになりはじめた漫画家のGao Yan、人形作家でロリータモデルでイラストレーターのZihling。刺青師で絵描きの靈子同學などが挙げられる。

歴史(漫画)


台湾における「漫画」とは21世紀に入るまで「日本の漫画」を意味していた。当時、台湾の貸本屋に置かれている漫画のほとんどは日本の作品であり、台湾の作品は1%未満だった。

 

戦後、台湾で漫画産業が開かなったのは政治的要因が大きく表現が抑圧されていたことが大きい。日本が勢いよくサブカルチャー市場を拡大していったのに対し、台湾では国民党一党独裁下で表現の自由は阻まれた。

 

1970年以前の台湾の漫画は貸本形式だった。日本の赤本をトレースしたもので、キャラクターは日本の着物は中国系のものに、日本の軍服は中国系の軍服に置き換えられていた。

 

台湾人の漫画もいたが、民国50年代(1960年代以降あたり)に厳しい検閲制度ができて、台湾の漫画家はほとんど絶滅してしまったという。絶滅前に活躍して台湾の漫画家として、『諸葛四郎』を描いた葉宏甲、『大嬸婆』を描いた劉興欽などがいる。

 

1970年ごろから台湾に『ブラックジャック』『三つ目がとおる』『火の鳥』などの海賊版が入ってくる。TVアニメも始まったがこの頃は漫画もアニメもほとんどすべて手塚治虫の作品だった。

 

1987年に戒厳令が解除されるまでの期間、反体制派とみなされた多くの国民が投獄・処刑され、文化は抑圧された。台湾は人災によってサブカルチャー市場がこれまで発展しなかったのだ。戒厳令中、美術大学を卒業した台湾の絵描きたちはおもに出版社に就職して、軍事雑誌やファッション誌、学習雑誌、地理雑誌などでイラストレーションを描いていた。

 

台湾における漫画の歴史を知るには、2016年にワイズ出版から刊行された雑誌『キッチュ』創刊号を参照するといいだろう。

 

1987年の戒厳令解除により、台湾の漫画家や読者は、バラエティに富む作品に触れることができるようになった。1990年頃は完全に海賊版のマンガ週刊誌で、『ドラゴンボール』や『幽遊白書』や『スラムダンク』など少年ジャンプ作品が中心だった。1992年に海賊版ではなく、正式の形式で日本のマンガが雑誌(版権マンガ)になって入ってきた。

 

日本や欧米の芸術が流入して、若者に影響を与えるようになった。台湾の漫画家も少しずつ育ちはじめていた。各出版社には3〜5冊の台湾人漫画家の単行本を出していた。

 

2000年になるとインターネットが発達したことで、台湾でも多くのクリエイターが刺激を受けた。そして、2020年の現在はSNSの発達により、InstagramやFacebookで作品を発表し、コミュニケーションを交わしながら独自の様式を生み出している。

 

ネットマンガが紙本を圧迫していると言われることもあるが、台湾の漫画家キッド・ジェリーによれば、ネットマンガは完全に新しい土俵としてできた新しい媒体で、作画が多少荒くてもよい、アイデア勝負の新天地だという。ネットで人気を得た漫画が、出版社から単行本となって出版されるようになりはじめている。

プラットフォーム


文化部

台湾のサブカルチャー情報を総括的に配信しているのは文化部で、中華民国(台湾)行政院に所属する省庁の一つである。芸術に携わる人や団体に対して、国際交流活動や首都エリアを中心とする文化活動への補助や奨励を実施し、台湾におけるコンテンツ産業の市場形成競争力の向上に努め、台湾で開催される各種フェスティバル情報の配信や国際展の参加のサポートを行っている。

 

2019年には「台湾漫画基地」を設立。1階部分は台湾のオリジナル作品の展示販売スペース。台湾の漫画を取り上げた専門の売り場としては台湾唯一のものとなり、海外からやって来た人々に台湾の漫画を知ってもらうための絶好の手段となる。2階と3階では、運営チームがテーマ別に漫画に関する展示やイベントを実施するほか、外部の組織でも申請すれば記者会見、作品発表会、展示などを行うことが出来る。4階は漫画家たち専用の交流スペースとして、創作のための空間と設備を提供する。

 

現在までに仏アングレーム、日本の北九州にある組織などが興味を示しており、交流協力計画の実施を希望しているという。

 

Mangasick

台湾で最も視覚美術(特に漫画やLowbrow Art)におけるインディーズ情報(おもにガロ系)を配信している。台北にある漫画喫茶、書店、オルタナティブスペース。台北アンダーグラウンドの中心地。台湾大学の学生街に立地していることもあって、周囲の雰囲気とあいまっている。2020年から「満満漫画」フェスという即売会を、台北萬華で開催予定。オリジナル漫画を少なくとも一冊販売することを参加条件と設定し、アートブックフェアと同人即売会、シリアス的とエンタメ的などの双極にある作品をあえて一場に集める。

 

CCC(Creative Comic Collection)

2009年から発行されている台湾の漫画や文化情報を紹介している雑誌。特に大人向けの漫画家たちに活躍の場を与え、連載作品の単行本化を進め、青年タイトル数の不足も消化されていった。

 

COMIC NOVA

台湾の同人誌即売会。日本の「COMITIA」に近く台湾オリジナルの作品が中心。台湾も日本と同じく二次創作が多いが、COMIC NOVAは、大量の二次創作で埋もれていたオリジナル作品を作る作家たちのブースを集結させたようなイベント。


■参考文献

・STUDIO VOICE「次代のアジアへ-明滅する芸術」

・キッチュ2017第7号,ワイズ出版