【漫画家】リトルサンダー(門小雷)「香港を基盤に活動する20年代注目の漫画家」

リトルサンダー / Little Thunder

香港を基盤に活動する20年代注目の漫画家


リトルサンダー「WAKAME AND WAVE AND INFINITY」
リトルサンダー「WAKAME AND WAVE AND INFINITY」

概要


生年月日 1984年
国籍 香港
活動媒体 漫画、イラストレーション
ムーブメント 20年代ウェーブ
公式サイト

Instagram

Twitter

リトルサンダー(1984年4月17日生まれ)は香港を基盤に活動している漫画家、イラストレーター。中国語名は"門小雷"。

 

彼女は高校卒業後、香港の雑誌でイラストレーションや漫画を描いて活動を始める。その後、Instagramなどインターネットプラットフォームを積極的に活用して作品を発表し、多くの支持を得る

 

2019年7月に、彼女は作品集「SISTERHOOD」(玄光社)を日本で出版。わずか3ヶ月で3刷りとなるほどの好評を博した。「SISTERHOOD」の発売に合わせて、日本の原宿のギャラリー・ルモンドにて個展「PEEK」を開催した。

 

また、同年7月、彼女は6年ぶりに新しい漫画「WAKAME AND WAVE AND INFINITY」を香港で自費出版。長らく漫画活動を停止していたが、本作を機に漫画家としての再出発を誓った。

 

「私が「WAKAME AND WAVE AND INFINITY」を発表したとき、(漫画家であることを知らない)新しいファンは「おお、ついにマンガを描きましたか!」という反応がありました。ここ6年間、私は漫画を描いていなかったので恥ずかしく思った。この6年間、漫画を描くことに自信がなかった。それで、たくさんのドローイングイラストレーションを描くことに楽しみを感じました。しかし、血と汗で作られた多くのエネルギーが心に深く影響を与えたのはいつも最良の漫画だけだった。それは電撃のような衝撃。もう時間を無駄に浪費している暇はありません。もう一度最初から漫画家を始めます。 「WAKAME AND WAVE AND INFINITY」は私の再出発点となる漫画作品です。残りの人生を熱心に漫画を描きたいと思います」(「WAKAME AND WAVE AND INFINITY」より引用)

「WAKAME AND WAVE AND INFINITY」より。
「WAKAME AND WAVE AND INFINITY」より。
「WAKAME AND WAVE AND INFINITY」より。
「WAKAME AND WAVE AND INFINITY」より。

ニュース


漫画単行本『わかめとなみとむげんのものがたり 
漫画単行本『わかめとなみとむげんのものがたり 
リトルサンダー作品集『SCENT OF HONG KONG』
リトルサンダー作品集『SCENT OF HONG KONG』

略歴


若齢期


リトルサンダーは書家(calligraphist)だった両親のもとに生まれた。もともと身の回りに絵を描く道具がそろっていたので、3歳頃から彼女は絵を描き始める。

 

また、8歳頃から漫画を描きはじめる。当時は『幽☆遊☆白書』やアニメの「魔神英雄伝ワタル」、「新世紀エヴァンゲリオン」などをよく見ていたこともあり、少年漫画を描いていた。

 

その後、手塚治虫、大友克洋、松本大洋、江口寿史といった日本の有名漫画家だけでなく、アメリカの漫画家クリス・ウェアや香港のインディペンデント漫画家TAK (楊學徳)、さらには、印象派やシュルレアリスムの画家などファインアート、映画監督のスタンリー・キューブリック、Radiohead、Bauhaus、Mogwaiなどの音楽など、古今東西のさまざまな芸術家から影響を受ける。

 

11歳で初めて香港の漫画雑誌に投稿し、15歳のときに新聞「星島日報」に漫画『SEED』を連載する。

 

高校卒業後、2001年からプロの漫画家を志す。最初は香港の雑誌でイラストレーションや漫画を描いたり、小説の表紙を描くなどの仕事をしていた。しかし、当時の香港の出版社は彼女に対して芸術家として接することはなく、彼女の作品を積極的にプロモーション、出版することに興味はなかった。

『Kylooe』の出版


本格的に漫画家として活動するようになったのは、2010年にベルギーの漫画出版社Kanaから依頼を受けてから。『Kylooe(カイロー)』という漫画シリーズのフランス語版を3巻出版する。その後、中国語版を出版するため、たくさんの香港の出版社をまわったが、興味を持ってもらえず香港での中国版『Kylooe』の出版はあきらめた。

『Kylooe』のイラストレーション。リトルサンダーのPixivより。
『Kylooe』のイラストレーション。リトルサンダーのPixivより。

Katol Loとの出会い


2012年に香港のショップ&ギャラリー「RAT'S CAVE GALLERY」での展覧会にあわせ、500部限定で『NIGHTINGALE 夜記』という漫画を自費出版する。ウェブ予約を行ったら1時間で完売した。

 

このギャラリーはオーナーのKatolと彼の知り合いのドンが、自分でデザインした服を売りながら、若いアーティストの展示をしていた。そのときにKatolから絵を展示するだけでなく本も作ろうという話になり、『NIGHTINGALE 夜記』の制作にいたる。

 

以後、ギャラリーのオーナーだったKatol Loとともに自費出版で漫画作品を制作するほか、カレンダーやさまざまなグッズを制作・販売している。なお、RAT'S CAVE GALLERYは2014年に閉店し、2017年から上環に新しく「Coffee & Laundry」というスペースの半分がコーヒーショップで半分がコインランドリーの店舗を開いている。

500部限定絶版の『NIGHTINGALE 夜記』
500部限定絶版の『NIGHTINGALE 夜記』

SNSで作品を発表して人気に


日本をはじめ世界中からリトルサンダーの作品に注目を集めるきっかけとなったのはSNSである。彼女は2010年にInstagramをはじめているが、当初は個人的な事を投稿しているだけだった。

 

その後、「@littlethunder」アカウントで公的に絵ををアップロードしはじめる。2015年に絵の制作過程をビデオ撮影してアップロードすると、大きな反響があり、フォロワーが爆発的に増え始めた。この頃から日本でも注目を集めはじめ、イラストレーターのたなかみさきと交流を持ち、江口寿史もInstagramで彼女の作品に注目するようになる。

 

2019年に日本で初となる作品集『SISTERHOOD』(玄光社)を出版。この本にはイラストレーション100ページ以上のほか香港で発表された漫画の日本語版「City Of Darkness〈九龍城寨〉」、「The Artists」、「Loser」とその続編「Lost Forever」(本書のための描き下ろし)も収録されている。

 

出版にあわせ渋谷のギャラリー・ルモンドで2019年7月2日から7月14日の間に個展「PEEK」を開催した。『SISTERHOOD』は3ヶ月で3刷となるほど好評を得ている。

『SISTERHOOD』(玄光社)
『SISTERHOOD』(玄光社)

作品リスト


・2006年:『彩虹』『666』『Boom! 邊走邊愛』(冬日漫畫),中国

・2009年:『宇宙不安學會暨門小雷繪圖筆記本』(kubrick),香港

・2010年:『Kylooe』仏語版(全3巻)(Kana),ベルギー

・2012年:『NIGHTINGALE 夜記』(RAT'S CAVE),香港

・2013年:『Remenber To Forget 2003-2013』(RAT'S CAVE),香港

     『Kylooe』中文版(全3巻)(三聯書店),香港

・2016年:『The Blister Exists』(RAT'S CAVE),香港

・2018年:『#Me』(RAT'S CAVE),香港

・2019年:『WAKAME AND WAVE AND INFINITY』(RAT'S CAVE),香港

     『SISTERHOOD』(玄光社),日本


■参考文献

「SISTERHOOD」(玄光社)

「ILLUSTRATION 2020」(翔泳社)

・「WAKAME AND WAVE AND INFINITY」

https://book.douban.com/author/1069538/、2020年1月6日アクセス

https://genkosha.pictures/illustration/19070325140、2020年1月6日アクセス