ミニー・ウールジィ/ Minnie Woolsey
ゼッケル症候群の鳥女クークー
ミニー・ウルジーが『フリークス』で踊る姿は、観客にとって「滑稽な余興」に見えたかもしれない。だが、その舞いは同時に「異形の存在を祝福する祝祭」のようでもある。彼女のダンスは、他者の視線にさらされながらも、自らを誇示する行為であり、「人間の尊厳は形に縛られない」という無言のメッセージを放っていた。
概要
| 生年月日 | 1880年 |
| 死没月日 | 1960年以降 |
| 本名 | ミニー・ウルジー(Minnie Woolsey) |
| 国籍 | アメリカ |
| 病名 | ゼッケル症候群 |
| 職業 | エンターテイナー |
| 芸名 | 「バードガール」「クークー」 |
ミニー・ウールジィ(1880年〜1960年以降)は、"鳥女クークー"というあだ名で知られるアメリカの見世物芸人です。ゼッケル症候群。1932年のトッド・ブラウニングの映画『フリークス』にも出演しています。
ウールジィは1880年にジョージア州のレイバン郡で生まれた。彼女の幼少期にについてはほとんど知られていないが、ジョージア州の精神病院から旅回りの興行師によって「救い出され」、サイドショー芸人として活動する際には「ミニー・ハ・ハ」(インディアン「ミネハハ」を由来としている)というステージ名を使ってた。
彼女はセッケル症候群と呼ばれる珍しい先天性成長骨格疾患で苦しんでいた。そのため身長は非常に低く、頭部も小さく、鳥のように細長い顔つきとくちばし状の鼻、大きな目、引っ込んだ顎、大きな耳、そして軽度の知的障害を持っていた。さらに、ウルジーは無毛で歯もなく、全盲もしくは極度の近視であった。
舞台では、羽根で作られたアメリカ先住民風のボディスーツをまとい、頭に一本の羽根を立てた姿で登場し、踊りながら意味不明な言葉を発していた。
1932年に映画『フリークス』では、"鳥女クークー"という名前で出演しているが、彼女はオリジナルの"鳥女"ではない。彼女以前にエリザベス・グリーンという女性が「コウノトリ」や「鳥」などの名前で鳥女のパフォーマンスをしていて、彼女が使っていた名前だった。なお、彼女もまた映画『フリークス』に出演している。
ウルジーは映画の多くのシーンに登場しており、とりわけ結婚披露宴の場面で羽根飾りの衣装を着て食卓の上で踊る姿が印象的である。
1942年、『ビルボード』誌の短い記事によれば、彼女は階段を降りる際に腕を骨折し、コニーアイランド病院で療養していたと伝えられている。また1960年代には自動車にはねられた記録がある。いつどのように亡くなったのかは不明である。当時の彼女は80歳ぐらいである。


影響
オーストラリアのパフォーマー、サラ・ハウボルトは「クークー・ザ・バードガール」というパフォーマンス作品を制作した。Disability Arts Onlineのインタビューでハウボルトはこう語っている――
「私のフルレングス公演『KooKoo the
Birdgirl』は、1932年の映画『フリークス』に出演した、障害をもつ歴史的な芸人ミニー・ウルジーを題材にしています。これはアート史の一部であり、サイドショーを女性の視点から捉え直す試みです。私が彼女の物語を掘り起こそうとする情熱は、障害の視点から私たちの歴史を語ることの重要性に根ざしています。ミニーが生きた時代は、障害をもつ女性に対して強制的な不妊手術や結婚禁止法が存在した時代であり、そのことはあまり知られていません。」
また、ミニー・ウルジーはトム・ウェイツのアルバム『The Black Rider』に収録された曲「Lucky Day (Overture)」でも言及されており、そこではサイドショーの芸人たちにまつわる歌の中で触れられている。
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