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【社会問題】アンダークラス「新しい日本の下層階級」

アンダークラス / Underclass

新しい日本の下層階級


概要


アンダークラスは、2000年以降に現れはじめた日本の新しい下層階級。その数は約900万人、就業人口の14・9%を占める。所得水準、生活水準が極端に低く、一般的な意味での家族を形成・維持することからも排除され、多くの不満を持つ、現代日本社会の最下層階級

 

平均個人年収は186万。資産がまったくない比率が30%以上とほかの階級に比べて極めて高く、また、アンダークラスの60%以上は親と同居している。

 

アンダークラスは、ほかの階級(資本家、正規労働者など)と比較して、異質性が際だった特徴を有しており、ほかの階級が一体となってアンダークラスの上にたち、アンダークラスを抑圧・支配しているように見える。

 

900万人を超えるアンダークラスに属してしまうと将来にわたって低収入が続くだけでなく、代替が効く仕事が任されやすいためキャリアを積むこともできず、階級のランクアップも望めない。

 

資本主義社会の下層階級といえば、かつてはプロレタリアート、つまり労働者階級と相場が決まっていた。かつての労働者階は普通に生活でき、さらには子どもを産み育て、次世代の労働力を再生産できるだけの賃金は受け取っていた。そうでなければ資本主義社会は存続できないからである。

 

しかし、21世紀に出現しはじめたアンダークラスは、家族形成どころか普通の生活も困難なレベルであり、100年前の労働者階級よりもはるかに劣悪な環境にあるという。

アンダークラスの特徴


自己評価の低い独身男性


アンダークラスにおいて何よりもきわだった特徴は、男性で有配偶者が少なく、結婚している人はわずか25%。性では離死別者が多いことである。

 

総合研究開発機構(NIRA)の調査では、とりわけ「就職氷河期」(現在の40代前半からなかば)と呼ばれた世代がアンダークラス塊となっている。この時期に社会に出た若者たちの一部が、そのまま非正規労働者にとどまり、今日のように巨大なアンダークラスが形成されたのだった。

 

仕事や生活への満足度もかなり低く、仕事に満足している人は26%。生活に満足している人はわずか18%で、他の階級に比べて際だって低い。また、自分を「人並みより上」と考える人はわずか10%で、とくに男性は6%と、ほとんど全員が自己評価が低い

 

アンダークラスの最終学歴は、中退者に多い。また、アンダークラスには学校でいじめを受けた経験をもつ人の比率が高い。ほかの階級ではおおよそ10%前後であるのに対し、アンダークラスのいじめ経験比率は32%にものぼっている。明らかにいじめや不登校の経験は、アンダークラスへの所属と結びついている。

 

アンダークラスの身体的特徴としては、ほかの階級に比べて身長が低い体重は逆にもっとも軽いうつ病や心の病気の診断や治療を受けた人の比率は、ほかの階級は7~8%だが、アンダークラスは20%と突出している。これには男女差はない。

http://gendainoriron.jp/vol.15/feature/f06.php よりデータグラフ引用。
http://gendainoriron.jp/vol.15/feature/f06.php よりデータグラフ引用。

かつては中間層だった転落者


アンダークラスに属する者には、かつては中間層である正社員だったが、離職後にアンダークラスに転落していくものもいる。

 

離職後にアンダークラスに転落するケースで多いのは、ブラック企業に勤め、厳しい上司の要求とプレッシャー、さらに長時間労働に絶えられなくなり、うつ病を患い退職するパターンである。医師のすすめで退職して治療に専念するものの無職状態が長引き、正社員への再就職が難しくなり、そのままアンダークラスへ転落するという。

 

ほかには介護離職で退職し、親がなくなり、いざ再就職しようとしても職がみつからずアンダークラスに転落するケースも多い。

ネカフェ難民の若者


アンダークラスはネットカフェで日々を過ごす者もおり、彼らは実質ホームレスに分類される。2018年に東京都が初めて調査したネットカフェ難民の実態調査では、都内のネットカフェ宿泊客の25.8%に当たる4000人は住む家がない者で、年齢別では30代が最も多く、約4割を締めていた。

 

2017年の厚生労働省者による全国のホームレス人口調査では5,168人で4年前に比べて約2500人減りつつあるが、この中にはネカフェ難民が含まれていない点に注意したい。

アンダークラスの歴史


アンダークラスの起点となったのは、高度経済成長の終焉、1980年代である。この時期から賃金の規模間格差、学歴格差の拡大から始まり、以後あらゆる面で格差が生じはじめる。87年にフリーターという言葉が流行り、新卒の若者たちが大量に流れ込んだ。

 

しかし、この頃はまだ社会問題としてさほど挙げられなかった。この時期は世界的に格差が拡大していた時期で、財政・金融政策で規制緩和が行われていた。

 

規制を取り除いてある程度自由な競争をすることで、潜在成長率を高めれば経済の格差は所得分配で対応できると認識されていたからである。所得分配とは少しでも公平にしようと、高収入の人から税金を高く取り、公共の福祉にまわして、貧しい人々の暮らしを助けになるようにすることである。

 

しかし、規制緩和を実際に進めてみたところ、どこの国でも潜在成長率は上がらず格差だけが広がっていった

 

格差が社会問題として一般世間にクローズアップされたのは2006年である。大手製造業で偽装請負が発覚したり、ワーキングプアの存在が明らかになったことで、格差拡大や貧困の連鎖に警鐘を鳴らす「格差ブーム」が訪れた。

 

その後、格差は改善するどころか世代を超えて固定化。現在は格差社会よりもさらにシビアな階級社会に移行しつつあるという。階級社会とは親の年収・学歴で子どもの学歴や生活が継承される世代間を超えた格差社会のことである。

関連項目


・ニート

・フリーター

・パラサイト・シングル

・ひきこもり

・ワーキングプア

・ネットカフェ難民

・貧困ビジネス

あいりん地区

・泥棒市

・スキッド・ロウ

・三和ゴッド

・ネトゲ廃人

文化的階層社会

■参考文献

・『新・日本の階級社会』橋本健二

・『週間ダイヤモンド2018年4月7日号』

http://gendainoriron.jp/vol.15/feature/f06.php