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黒色すみれインタビュー

黒色すみれインタビュー

東京アンダーグラウンドが産んだ双子



黒色すみれは、日本の音楽家。2004年に『ぜんまい少女箱人形』でCDデビュー。クラシック音楽を基調に、フランスのシャンソン、日本歌曲や大正ロマンのテイストをミックスさせたノスタルジックな楽曲が多く「ネオクラシックユニット」と銘打っているが、そのオリジナリティの高さから「オルタナティヴミュージック」と分類されることがある。

 

その独自の世界観が認められ2007年〜2009年にはヨーロッパツアー、アメリカのフェスティバルにも招待されている。 東京都内での演奏活動を中心としながらも、演劇作品や映画、アニメ-ション作品への楽曲提供・出演、ファッションモデルなどその活躍は多岐に渡っている。

 

アンダーグラウンドのフィールドで活躍してきた二人だったが、近年では黒色すみれの完成された世界観と音楽技術の高さにメディアが注目し、テレビの音楽番組への出演も頻繁になる。 フジテレビ「MUSIC FAIR」出演時に披露した「幸福な王女さま」は日本中を新しい音楽の世界に引き入れた。 他にも同番組で由紀さおり、氷川きよしなど実力派アーティストとコラボレイトしている。

黒色すみれの名前の由来は?


一応、かわいいものとその裏にある暗いもの、影のあるもの。きれいだけどなんか怖い、みたいな世界観を出したかったんです。それで、名前にも陰と陽を出したいとおもって、「黒」と「すみれ」を組み合わせました。

 

「黒」には、何にも染まらない黒とか、どの音楽性とも違う黒とか、唯一無二的な存在、という意味があります。また、美しいもの、かわいいもの、煌びやかなものの裏には、影のある部分、暗黒の部分が必ず潜んでるよ、っていう。今は違うかもしれないけど、当初は耽美ユニットとして始めたのでそういう意味もありました。曲的にも両面を出していきたかったんですよね。

 

「すみれ」は、すみれの花言葉が、清純とか、可憐とか、おしとやかであるとか、日本女性の良いところを表現していてピッタリだなと思って付けました。そのほかに、すみれっていう花には、栽培するのが難しいっていう意味があるんですよ。プランターで育てられない、自生する花なので。胡蝶蘭とかみたいにお世話して綺麗に咲く花ではなく。

 

また、生えてるところが特定の地域に限定していなくて日本全国に咲いている花なんですよ、すみれって・・・・・・ だから、本当に雑草のようなものなんです。何度踏まれてもまた生えてくるし、そういう強さとか、根深さで、日本全国に私たちの音楽を根付かせたいっていう意味があって、すみれにしたんですね。

 

黒色すみれ誕生のきっかけは?


2人は新宿コマ劇場近くにあったスカラ座という喫茶店でバイトしていました。一緒に早番になると音楽の話をしたり、本当に暇なときは楽器を取り出してきて、遊びで演奏していたんですよ。

 

その後、互いの家に行きあって、お茶しながら好きな曲を一緒に合わせたりしていて。そんなことをしているうちに、私の友達のロリータの女の子から、青い部屋の「ロリパブ」というイベントで、余興で何かやって欲しいという依頼がきました。じゃあ、今まで遊びでやってた曲をちょっと表に出してみようかということになって、青い部屋で黒色すみれが誕生しました。

 

青い部屋から出て本格的にライブをし始めたのは、池袋手刀だったような。ロリパブを見に来ていたイベンターさんから誘われたのがきっかけで、そこで、初めてロリパブからほかのイベントに出ました。そのときに、1stアルバムの『ぜんまい少女箱人形』を出したレーベルの社長さんが見ていて、スカウトされて、なぜか仕事っぽくなってきました。

 

そのときの事務所の社長さんが1stアルバムのジャケット画を制作する際、イラストレーターの候補をいくつか挙げて、「好きな人に頼んでいいよ」っていわれました。その中に山本タカトさんがいて、満場一致でタカトさんに決まって。事務所に頼んでジャケット画を書いて頂きました。もっと、萌えっぽいものもありましたね。七戸優さんのときと違って、山本タカトさんとは何も面識はなかったです。

山本タカト画「ぜんまい少女箱人形」
山本タカト画「ぜんまい少女箱人形」
七戸優画「天氣輪組曲」
七戸優画「天氣輪組曲」

当初は、寺山修司や江戸川乱歩の世界観とコンセプトがあったみたいですが?


前の事務所に「今までどんな本を読んできたの?君の詩の世界はどこからきているの?」と聞かれて、いくつか読んでいた本を挙げた中に澁澤龍彦とか江戸川乱歩が入っていたというだけで。

 

いや、そればかりではなかったのですが、そのあたりをパッと取られたかんじです。そのほうが分かりやすかったからでしょうか。実は私、寺山修司は全然読んだことがなくて、天井桟敷のビデオを見たというくらい。日本歌曲の詩を寺山修司が書いているので、そこで知ったぐらいで・・・・・・ 実はあまり詳しくないので、寺山ファンの人から質問されると困ったものです。

 

ゴシックとかアングラとか耽美とか、実は特に意識してないのですよ。それまで遊びでやっていて、自分たちの好きな曲を勝手にカバーしてやってたので、『ぜんまい少女箱人形』が出たあとに方向性に困っちゃって・・・・・・  『ぜんまい少女箱人形』に収録されている「サーカスの馬」以外は他人の曲のカバーなんです。だから、2ndアルバムの『アンデルメルヘン歌曲集』を出すときや、その後の活動でオリジナルを作るときにどうしようと思って・・・・・・

 

また、自分たちのセールスポイントを把握する必要がある時期になっていて、それできちんと信念をもってやらないといけなくなって・・・・・・ 「なぜ、これはこうなのか」とか。たとえば、オカッパで双子なのはなぜかとかを後付けで考え始めました。

オカッパで双子の意味は?


実は何の意味もないのだけど(笑)。ただ、なんとなくやっていただけ。たとえば、さっちゃんは十年以上同じ髪型なんだけど、その理由は「ただ好きだから」としか説明ができない。さっちゃんは、前髪が割れるのが嫌なんだけど、その理由は「嫌だから嫌だ」っていうしかなくて・・・・・・ それの説明ができないのと同じなんだけど。

 

でも、それだと理由にならないから、色んなことに対する理由付け、特にほかのセクションの人、たとえば洋服作る人とか、違う業界の人と仕事するときに、コンセプトがすごく必要になってくるのですよね。言葉にしないと相手が分からないときがあって、いちいち考えたんだよね。なぜオカッパか? なぜ双子か? オカッパの設定は、私たちの設定が13~14歳という設定があるので、子どもから大人への至るときの曖昧な部分を表現したいなという。完璧な大人でもない、子どもでもない、微妙な時間というか。

 

14歳ということを意識してやっていたわけではないのですけどね。二人とも、子どもっぽくしたいからとか、ロリータっぽくしたいとか、意識して洋服を選んでいるわけではなくて、ただ、そういう可愛い服が好きだから着ているのだけれど・・・・・・。

 

世間のロリータの観念っていうのがよく分からないです。だってゴスロリの格好って、全然知らないおじさんから見れば、アキバのメイド喫茶のメイドと決め付けられちゃうと思うんだけど。自分たちがそうではないと思っても、ちょっとヒラヒラが付いてるだけでアキバっていわれちゃうから。だからそのあたりが本当によく分からないから、今となっては曲に関しても、自分たちが好きなものをやってるとしか言えないですね。やっぱり見た目なのかな・・・・・・

●出典元「世界のサブカルチャー」

●写真

http://www.kokusyokusumire.net/photo.html