【経歴・解説】ジャレッド・クシュナー「トランプ政権の上級顧問でイヴァンカの夫」

ジャレッド・クシュナー / Jared Kushner

トランプ政権の上級顧問でイヴァンカの夫


概要


生年月日 1981年1月10日生まれ
国籍 アメリカ
学歴

ハーバード大学(AB)

ニューヨーク大学(JD、MBA)

政党

共和党(2018〜)

独立(2009-2018)

民主党(2009年以前)

配偶者 イヴァンカ・トランプ(2009年〜)
現在の居住地 イギリス、ベルマーシュ刑務所

ジャレッド・コーリー・クシュナー(1981年1月10日生まれ)は、アメリカの投資家、不動産開発業者、新聞社の経営者。イヴァンカ・トランプの夫でドナルド・トランプ第45代大統領の上級顧問を務めている。

 

クシュナーは、元不動産開発のチャールズ・クシュナーの息子である。父親が詐欺罪で有罪判決を受け、投獄された結果、父親が経営していた不動産会社「クシュナー・カンパニーズ」の経営を引き継ぐ。その後、ニューヨーク・オブザーバー紙の発行元であるオブザーバー・メディアを買収する。

 

クシュナーはオンライン不動産投資プラットフォームのCadreの共同設立者であり、パートオーナーでもある。

 

2016年のトランプ大統領選挙運動中、クシュナーはトランプ氏のデジタルメディア戦略の策定と運営を支援する。2017年にはイヴァンカとともにホワイトハウスの上級顧問に任命されたため、縁故主義への懸念が高まった。クシュナーはビジネスにも続けていたため、彼自身が政権内で推し進めた政策提案で利益を得ていたため、利益相反について物議を醸した。

 

クシュナーはトランプ大統領の上級顧問として、2018年にトランプが署名した刑事司法改革法案「ファーストステップ法」を強力に推進した。

 

2020年1月に発表されたイスラエル・パレスチナ紛争におけるトランプ和平案を作成し、その内容はイスラエルにとって非常に有利と見られている。クシュナーは2020年のアブラハム合意の調印における中東和平プロセスに関する協議で、トランプ政権の主要メンバーとして参加していた。

 

また、クシュナーはトランプ政権のCOVID-19対応で影響力のある役割を果たした。

略歴


幼少期


クシュナーはニュージャージー州リビングストンで、母セリル・クシュナー(旧姓シュタットマウアー)と、不動産開発業者で有罪判決を受けた重罪人である父チャールズ・クシュナーの間に生まれた。

 

父方の祖父母であるライケルとジョセフ・クシュナーはホロコーストの生存者で、1949年にナヴァフルダック(現在のベラルーシ)からアメリカに移民としてやってきた。

 

現代正統派のユダヤ人家庭で育ったクシュナーは、1999年に現代正統派のヨシバ高校フリッシュスクールを卒業。父親の支援で、1999年にハーバード大学に入学した。ジャーナリストのダニエル・ゴールデンによると、クシュナーの父親は、ジャレッドが入学する直前の1998年に同大学に250万ドルの寄付をしたと言われている。

 

クシュナーはフライクラブに選出され、大学のチャバードハウス(ユダヤ人の宗教団体の1つ)を支援し、サマヴィルビル・ビルディング・アソシエイツ(クシュナー・カンパニーズの一部門)の副社長としてマサチューセッツ州サマヴィルの不動産を売買し、2005年に解散するまでに2000万ドルの利益を得た。2003年にハーバード大学を卒業し、政治学の学士号を取得した。

 

その後、ニューヨーク大学法律学校とニューヨーク大学ビジネス学校に入学し、経営学修士号/法学博士号/経営学修士号を取得する。

ビジネスキャリア


父親の有罪判決と投獄の後、クシュナーは、家族の不動産ビジネスでより大きな役割を果たす。彼は事業の拡大に乗り出し、その後10年間で70億ドル近い資産を購入した。その多くはニューヨークにある。2019年現在、クシュナーの純資産は約8億ドルと推定されている。

不動産投資


クシュナーは不動産投資家であり、ニューヨークの不動産市場でクシュナー・カンパニーズの存在感を高めた。クシュナー・カンパニーズは2007年、当時としては記録的な価格であった18億ドルで5番街666番地のオフィスビルを購入したが、そのほとんどは借り入れであった。

 

同年の不動産暴落の後、同ビルから生み出されたキャッシュフローは負債の返済を賄うには不十分であり、クシュナー家はスタンレー・チェラに小売店舗を売却することを余儀なくされ、ボルナド・リアルティ・トラストを同ビルの所有権の50%の株式パートナーとして迎え入れることになった。その頃には、クシュナー・カンパニーズは9000万ドル以上の資本金を失っていた。

 

2014年8月18日、クシュナーは、メリーランド州ミドルリバーにある3棟のアパートのポートフォリオをアイオンパートナーズとの間で3800万ドルで取得した。

 

2013年から2014年にかけて、彼と彼の会社はニューヨーク、ニュージャージー、ボルチモア地域全体で11,000戸以上のユニットを取得した。

 

2015年5月には、アフリカ・イスラエル投資会社からタイムズスクエアビルの50.1%を2億9500万ドルで購入した。

 

2014年、クシュナーは弟のジョシュア、ライアン・ウィリアムズと共同でオンライン不動産投資プラットフォームCadre(現RealCadre LLC)を設立。彼のビジネスパートナーには、ゴールドマン・サックスや民主党の献金者である億万長者のジョージ・ソロスが含まれている

 

2015年初頭には、ソロス・ファンド・マネジメントが2億5000万ドルの信用枠でスタートアップに資金を提供した。クシュナーは2017年1月の政府の財務開示書類の中で、これらのビジネス関係を明確にしなかった。2020年には、Cadreへの彼の所有権は2,500万ドルから5,000万ドルと推定されていた。

新聞社の買収


2006年、クシュナーはニューヨーク市の週刊紙「ニューヨーク・オブザーバー」を1,000万ドルで買収した。これは、彼が大学時代にマサチューセッツ州ソマービルの住宅ビルの取引を閉じることで稼いだと言うお金で買収したと言われいる。

 

クシュナーはオブザーバー紙を買収した後、タブロイド形式で配信をはじめた。それ以来、彼はオブザーバーのオンラインプレゼンスを高め、オブザーバー・グループの拡大に貢献した。

 

ジャーナリズムとして実質的な経験がなかったクシュナーは、同紙のベテラン編集長ピーター・W・カプランと良好な関係を築くことができなかった。「この男は自分が何も知らないことを知らない」とカプランは当時の同僚にクシュナーについて話している。クシュナーとの意見の相違の結果、カプランは辞職した。カプランの後任として、2011年にエリザベス・スピアーズを雇用するまで、短命の後任者が続出した。

 

このメディアは、クシュナーが不動産業界のライバルに対してプロパガンダとして利用したと言われている。スピアーズは2012年に退職。2013年1月、クシュナーは新しい編集長、ケン・クアソンを雇う。クアソンニュージャージー州の共和党の政治家候補者のコンサルタントをしていた。

 

ヴァニティ・フェアによると、クシュナーの下で、「オブザーバーはニューヨークのエリート間における文化的要素を事実上すべて失ったが、今では利益を上げ、トラフィックを成長している... 2013年1月の130万人から毎月600万人のユニークビューを誇っている」と話している。

 

2016年4月、ニューヨーク・オブザーバー紙は、共和党の代表選で米国大統領候補ドナルド・トランプを正式に支持した数少ない新聞の一つとなったが、同紙は大統領候補を全く支持しないことを選択して選挙運動期間を終了した。

 

クシュナーは2017年1月、ドナルド・トランプ大統領の政権での仕事に専念するため、新聞社の役職から身を引いた。後任には義兄のジョセフ・メイヤーが就任した。

クシュナー氏(右)とニューヨーク・オブザーバー紙のピーター・W・カプラン編集長(2008年9月)
クシュナー氏(右)とニューヨーク・オブザーバー紙のピーター・W・カプラン編集長(2008年9月)

政治


オバマ政権に失望して共和党へ


ジャレッド・クシュナーは、義父ドナルド・トランプが政界に入る以前は生涯民主党員だった。11歳のときから民主党員の選挙活動に1万ドル以上寄付している。2008年にはヒラリー・クリントンの選挙活動に寄付して、彼の新聞ニューヨーク・オブザーバーは、2008年の米国大統領選挙でジョン・マケインよりもバラク・オバマを支持していた。

 

しかし、オバマへの失望を表明した後、2012年にはニューヨーク・オブザーバー紙を通じて共和党の米大統領候補ミット・ロムニー氏を支持しはじめた。2014年はまだ民主党団体への献金を続けていたが、その後、2015年に義父であるドナルド・トランプの米大統領選挙運動に参加し、「イデオロギーへの転換」を行った。クシュナーは、トランプの選挙運動以前には、選挙政治にも政府にも関与していなかった。

トランプ選挙運動


クシュナーは、ドナルド・トランプの大統領選挙運動の当初から、トランプのデジタル、オンライン、ソーシャルメディア運動の監督であり、シリコンバレーから才能ある人材を集め、「プロジェクト・アラモ」と呼ばれる100人規模のソーシャルメディアチームを運営していた。

 

クシュナーは、ポール・マナフォートとブラッド・パースケールらとともに、スティーブ・バノンの会社ケンブリッジ・アナリティカに発注して、トランプの選挙運動を支援した。また、トランプの演説原稿作家として活躍したり、トランプのホワイトハウス移行チームの計画の策定も担当した。

 

クシュナーはしばらくの間、トランプの事実上の選挙運動マネージャーとして見られ、2016年6月に解雇されたコーリー・ルワンドウスキーの後継ぎの役割を果たした。

 

8月下旬のトランプ大統領のメキシコ訪問を調整し、マイク・ペンスをトランプ大統領のランニング・メイトに選んだのもクシュナーだと考えられている。

 

クシュナーの「広大なデジタル資金調達データベースとソーシャルメディアキャンペーン」は、「トランプ大統領選招致の軌跡」と表現されている。

家族


クシュナーには弟のジョシュアと、ダラとニコルの2人の姉妹がいる。

 

2009年10月25日にイヴァンカ・トランプとユダヤ教の儀式で結婚した。二人は2005年に共通の友人を通じて知り合った。クシュナー夫妻(2009年にユダヤ教に改宗した)は現代正統派のユダヤ人で、コーシャの家を守り、ユダヤ教の安息日を守っている。

 

2人には2011年7月に生まれた娘と、2013年10月と2016年3月に生まれた2人の息子の3人の子供がいる。


■参考文献

https://en.wikipedia.org/wiki/Julian_Assange、2021年1月5日アクセス