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【禁断の研究】機能獲得研究(Gain of function research)

機能獲得研究/Gain of function research

変異を起こすよう進化的圧力を加える研究

概要


「機能獲得(Gain of Function)」とは、遺伝子変異の結果、遺伝子産物が構造変化することによって、他の因子とのタンパク間相互作用が変化するなどして,生理状態ではみられない新しい機能を獲得すること。

 

そして、「機能獲得研究」(Gain of Function Research(GoFR))とは、微生物をイン・ビトロやイン・ビボで連続継代することに焦点を当てた医学研究の分野である。これにより、病原性、伝染性、抗原性を高めるような変異を起こすよう、微生物にポジティブな進化的圧力を与える

 

機能獲得研究は、病原体が環境圧力に適応する方法を理解するための研究として行われるもので、これにより疾病対策計画を立てたり、潜在的なワクチンや治療法を検討したりすることが可能になる。

 

物議をかもした機能獲得の研究は、ヒトでのパンデミックを起こす可能性があったH5N1鳥インフルエンザの機能獲得研究である。この研究で、通常は鳥からヒトへ空気感染しない鳥インフルエンザだが特定の鳥インフルエンザウイルス株が、いくつかの変異を経るとヒトからヒトへ空気感染するという。翌年、中国で同じような人工ウイルスが作成され物議をかもした。

 

機能獲得の研究は、ウイルス学において現在および将来のパンデミックの理解を深めるために行われている。ワクチン開発では、ウイルスが出現する前に先手を打って、ワクチンや治療薬を開発するために、機能獲得型研究が行われている。しかし、その一方で、何らかのトラブルで機能獲得の研究で作成したウイルスがパンデミックになる点も危惧されている

 

機能獲得研究は、核研究のようなものである。原子力がエネルギーに使われるか、トラブルで死の放射能になってしまうか。

 

さらに、悪意のある国が機能獲得の研究が進められると「生物兵器」として軍事利用されることもある。生物兵器を重宝する理由は、1つは多くの人を殺しても証拠が残らないことだ。現在のパンデミックが良い例だ。2つ目は廉価な核兵器で、生物兵器の方が核兵器よりコストパフォーマンスが高いことだ。

重要ポイント

  • 簡単にいえば人工的なウイルス作成実験である
  • 良い意味では将来のパンデミックへのワクチン開発が目的
  • 悪意を持つ研究によっては生物兵器開発にもなる

機能獲得研究の歴史


機能獲得の研究初期


2000年2月、ユトレヒト大学のピーター・ロティエ教授のグループは、「スパイク糖タンパク質外部ドメインの置換によるコロナウイルスのリターゲティング:宿主細胞種の障壁を越える(Retargeting of Coronavirus by Substitution of the Spike Glycoprotein Ectodomain: Crossing the Host Cell Species Barrier)」と題した、機能獲得研究に関する論文を発表した。

 

この論文では、コロナウイルスであるマウス肝炎ウイルスのスパイク糖タンパク質(S)のエクトドメインを、ネコ伝染性腹膜炎ウイルスのSタンパク質の高度に乖離したエクトドメインに置き換えた変異体を構築した経緯が詳しく紹介されている。

 

論文によると、「fMHVと名付けられたこのキメラウイルスは、ネコの細胞に感染する能力を獲得すると同時に、組織培養でネズミの細胞に感染する能力を失った」という。

 

その後、世界保健機関(WHO)は2010年、生命科学分野における「懸念される二重使用研究(DURC)」についての「ガイダンス文書」を作成する。これは、「利益を得ることを目的としているが、容易に悪用されて害をもたらす可能性がある研究」という意味である。

H5N1型鳥インフルエンザの空気感染


2012年5月、ウィスコンシン大学の河岡義裕らの日本の科学者グループは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、ERATO、米国国立アレルギー・感染症研究所からの資金提供、米国国立衛生研究所およびベトナム国立衛生疫学研究所からの支援金を受けて、フェレットからフェレットへの呼吸器飛沫感染によってもたらされるH5N1型鳥インフルエンザの空気感染に関する論文を『Nature』誌に発表した。物議を醸した発表だが、発表の内容と背景は以下のようなものである。

 

H5N1亜型鳥インフルエンザウイルスは、16年以上にわたって家禽間を循環しているが、ヒトへの感染例はまれである。しかし、ヒトがH5N1鳥インフルエンザに感染して発症した場合、症状は格段に重篤になるため、ヒトからヒトへのH5N1パンデミックが起こった場合は、公衆衛生に壊滅的な影響を与えるのではないかと危惧されている。

 

ただし、ヒトからヒトへ高効率で伝播できるH5N1ウイルスはまだ出現しておらず、そのため、この種のウイルスはヒト間の伝播能力をもともと獲得できないのではないかと考える研究者もいた。

 

そのようななか、日本時間2012年5月3日付で『Nature』のウェブサイトに発表された論文で、今井正樹たちはH5N1ウイルスが実際にヒトでのパンデミックを起こす可能性があることを明らかにした。

 

研究グループは、「ウイルスのアミノ酸プロファイルを変更し、鳥の肺よりも少し寒い哺乳類の肺で繁殖できるようにした」としたという。

 

つまり、ヒトから分離した鳥インフルエンザH5N1型ウイルスとヒトH1N1pdm2009型ウイルスのハイブリッドウイルス(H5N1/H1N1ハイブリッドウイルス)を作製しフェレットに感染させたところ、空気感染するウイルスが出現したことが報告された。

 

この小さな変化により、ウイルスは咳やくしゃみで感染するようになり、H5N1が人間の体内で空気感染が可能になるという。この研究チームは、鳥インフルエンザウイルスがフェレット間で呼吸器飛沫(咳やくしゃみで飛び散る飛沫)によって感染できるようになるための複数の変異を突き止めた。フェレットは、ヒトでのインフルエンザ伝播に関して利用可能な中で最良のモデルだった

 

研究グループは、ウイルスゲノムを遺伝学的に操作できる「逆遺伝学」の手法を用いて人工ウイルスを作り出した。これは、2009年にヒトでパンデミックを起こしたH1N1ウイルスのHA遺伝子を、変異を導入したH5 HAタンパク質の1つをコードする遺伝子で置き換えた人工ウイルスなのである。

 

WHOが集約している鳥インフルエンザH5N1ウイルスのヒト感染例では、累積致死率が60%ほどとなっているが、ただ今回の人工ウイルスでは、高い致死率を保ったまま空気感染するウイルスができたということではなかった。

 

米国議会議員をはじめ、世界中の評論家たちは、この研究発表に対して警戒と非難の声を上げた。ニューヨーク・タイムズの社説は、この出来事を「人工的な最後の審判」と表現した。

バイオハザードマーク
バイオハザードマーク

中国で機能獲得実験の成功


2013年5月、中国国家鳥インフルエンザ参考実験室の責任者であった陳化蘭氏らは、BSL3認可のハルビン獣医学研究所において、機能獲得実験により新型インフルエンザウイルスの作成に成功する。

 

中国の科学者たちによれば「(鳥には)致死率が高いが(人には)感染しにくいH5N1鳥インフルエンザウイルスと、人への感染力が非常に強い2009年のH1N1豚インフルエンザウイルスウイルスを意図的に混ぜ合わせた」という。

 

「インフルエンザの定期的な監視を続け、このような危険の高いH5N1ハイブリッドウイルスが自然界に存在しないか十分に注意を払う必要がある」と陳氏は警告している。

 

ハルビン獣医研究所(HVRI)は「鳥インフルエンザウイルスに関する中国の国家的研究機関」で、「BSL-3レベル実験室を完備し、最先端の研究」を行っているという。BSLとはバイオセーフティレベルのことで、最高度はレベル4。日本では国立感染症研究所と理化学研究所筑波研究所にのみ、レベル4実験室が設置されている。

 

パスツール研究所のサイモン・ウェイン=ホブソン教授は、中国の科学者たちは「自分たちが何をしているのか、はっきりと考えていない」と指摘し、この出来事はヨーロッパのバイオテック界に大きな衝撃を与えた。「非常に心配ですね...。この研究のウイルス学的な根拠は強固ではありません。ワクチン開発には役に立たないし、新型インフルエンザウイルスのサーベイランスという点でのメリットは過大評価されている」と述べている。

 

一方、オックスフォード大学のメイ卿は次のように述べている。「このような実験室での危険な記録は、安心できるものではありません。彼らは、非常に危険なウイルスのヒトからヒトへの感染を自らの手で作り出しているのです。恐ろしいほど無責任だ」

オバマ政権下での機能獲得研究の制限


2014年5月、米連邦議会に、国家倫理委員会が執筆した機能獲得研究の管理のためのガイダンス案に関する報告書が提出された。

 

当時、ドイツ国内では「機能獲得研究による病原性パンデミック微生物が暴走する」ことを懸念する声が上がってた。

 

疫学者のマーク・リプシッチは、「過去のバイオセーフティ違反のデータを用いて、」「ラボごとに年間0.01~0.1%の確率で」事故が発生すると計算している。

 

2014年10月、オバマ政権下のホワイトハウスは、インフルエンザ、MERS、SARSの機能獲得型研究の一時停止を制定し、科学技術政策局(OSTP)、バイオセキュリティのための国家科学諮問委員会(NSABB)、国家研究評議会(NRC)によるシンポジウムからの問い合わせを開始し、すべてのプロジェクトへの資金提供を3年間停止した。

 

少なくとも18の機能獲得研究プロジェクトが影響を受けた。フォーチャーや河岡の研究室で継続されていた研究も影響を受けた。

 

2014年12月、米国研究評議会と米国医学研究所は、機能獲得研究の潜在的なリスクと利益について議論する2日間のシンポジウムを開催した。次の日、米国政府は、影響を受けた18の研究プロジェクトのうち7つに機能獲得研究モラトリアムの例外を認めた。

 

2016年、合成ウイルス学の科学者と生命倫理の専門家は、機能獲得研究の二重使用に再び懸念を示した。

 

2016年3月までに、オバマ政権が立ち上げた2回目のシンポジウムでは、機能獲得研究の資金は、政府機関、医薬品研究企業、ベンチャーキャピタルファンド、大学、非営利研究機関、財団、慈善団体などから提供されていると報告されている。

 

2016年5月、NSABBは「提案された機能獲得研究の評価と監督のための推奨事項」を発表した。

 

2017年1月9日、HHSは「パンデミック病原体のケアとオーバーサイトの可能性に関する審査メカニズムの省庁別開発のための推奨政策ガイダンス」(P3CO)を発表した。

2015年、武漢ウイルス研究所を訪問するオバマ元大統領とファウチ博士。
2015年、武漢ウイルス研究所を訪問するオバマ元大統領とファウチ博士。

新型コロナウイルス対策として機能獲得研究


機能獲得研究は、ウイルス学の分野で最も用いられており、ウイルスの感染や複製の生物学的メカニズムに関する多くの詳細を明らかにしている。

 

ウイルスの高い複製率と突然変異率は、一般的に逃避変異体をもたらす。逃避変異体とは、ウイルスに対する自然抗体やワクチン誘発抗体の親和性を低下または除去するようなゲノム変化を獲得した系統のことである。

 

ウイルスが獲得する可能性のある突然変異の多くは、ウイルスの機能自体に弱体化をまねくものだが、場合によっては、突然変異によって病原性が強化されたり、免疫機能を回避することが容易になったりすることもある。

 

たとえば、重症急性肺炎SARS-CoV-2のスパイクタンパク質のE484K変異に関する初期の研究では、ウイルスの標的であるACE2受容体への親和性が高まる一方で、野生型SARS-CoV-2から回復した患者から採取した血清抗体による中和活性は低下する示唆されている。

そもそも機能獲得の研究で作られた新型コロナウイルス


トランプ政権下の2017年12月19日、NIHは機能獲得の研究に対するオバマ大統領の一時停止を解除した。その理由は「公衆衛生への脅威となる急速に進化する病原体を特定し、理解し、戦略や効果的な対策を開発する上で重要である」と判断したためである。

 

2020年のCOVID-19の大流行の間、SARS-CoV-2ウイルスの起源について中国武漢ウイルス研究所の獲得機能の研究のトラブルが広まった。

 

当初は「陰謀論」や「政治的宣伝」の一形態として展開されていたが、2021年4月現在のバイデン政権下において、武漢ウイルス研究所における機能獲得の研究が感染源であることが濃厚になった。

 

ピーター・ナヴァロは「バノンのWar Room」のインタビューで「世界保健機関のピーター・ダザックは武漢ウイルス研究所との密接な関係を認めている。またダザックはファウチから研究費を求め、さらに機能獲得実験を推進した仲介者だった。しかし、機能獲得実験は非常に危険のため、オバマ政権は2014年にこの研究を一時停止していた。なぜなら、トラブルまたは意図的な「悪意のある放出」の可能性があったためである。

 

2014年にインフルエンザ、SARS、またはMERSに関連する機能獲得研究への資金提供を停止したが、この決定はその後取り消された。

 

2021年4月13日の「ワシントン・タイムズ」紙によれば、オバマ時代に機能獲得の実験が停止されたが、アンソニー・ファウチがこの約束を破り、アメリカ人の税金約700万ドルの資金を武漢ウイルス研究所に提供して、機能獲得の実験を許可したとみなされている。

 

閻麗夢博士によれば、SARS-COV-2は、中共解放軍の生物兵器専門科が獲得した「舟山コウモリコロナウイルス」を遺伝子操作で改造し、さらにこれを機能獲得の研究で反復継続して実験動物に感染させることで得られたものだと主張している。

 

「コウモリ女」石正麗は2015年にNorth Calorina 大学の研究者たちと共著でウイルスを人工的に人間のACE2受容体に付きやすくする研究成果をNature Medicine に発表している。

 

米国の著名な腎臓内科医であるフィッシャー博士は、新型コロナウイルスがなぜ生物兵器なのかについて「このウイルスを実験室で【機能獲得】改造を行えば、人に感染しやすくなり、【機能獲得】実験の本当の目的は生物兵器を作ることである」と説明した。

 

また、更に多くの左派メディアもウイルスの真相について報じ始めている。ウイルスは武漢ウイルス研究所由来であると報じている。現在は、ウイルスの機能獲得実験は生物兵器開発のためなのか、それともワクチン開発のためなのか、ウイルスはトラブルで漏洩したのか、意図的に放ったのかより深い討究の段階に入っている。

米国が管理する海外の研究所で行われた獲得研究


ロシアの国家院議長で、プーチン大統領にとって重要な官僚であるヴャチェスラフ・ヴォロディン(Vyacheslav Volodin)氏は新型コロナウイルスは中共国の武漢にある「米国の研究所」からの漏洩であると述べた。

 

誤解されやすいが、この発言の具体的な意味は「中共ウイルスは中共国の武漢にある研究所で漏洩したもので、その研究所はかつて米国のNIHから資金援助を受けていたため、武漢にあるこのウイルス研究所は米国の研究所である」という意味である。

 

沖縄の米軍基地から漏れた軍事兵器は日本の責任ではなく米国の責任であるというような感じだろう。このような世界で行われている機能獲得研究の内情を把握しているため、バイデン政府はいまだはっきりと武漢ウイルス研究所由来であることを示すことができないでいる。

 

なお、米国は中東、アフリカ、東南アジア、旧ソビエト連邦の25の国と地域に多くの生物学研究所を設置しており、ウクライナだけでも16か所が設置されている。その中のいくつかの場所は、生物学的軍事化活動に関与していたと考えられており、米国が管理する武漢ウイルス研究所からウイルスが漏れたというものである。(参照:THE STRAITS TIMES,TASS