【解説】Gab(ギャブ)「オルタナ右翼の「避難所」として知られるSNS」

ギャブ / Gab

オルタナ右翼の「避難所」として知られるSNS


概要 Gabとは?


種類 ソーシャルネットワーキングサービス
本社 米国、ペンシルバニア 
創立者 アンドリュー・トブラ、エクレム・ビューユッカヤ
URL gab.com
開設日

2016年8月15日(プライベートベータ版)

2017年5月8日(オープン登録版)

2019年7月4日(マストドン版)

関連サービス

Gab-TV(動画共有サイト)

Gab Trends(SNSでのトレンド)

Gab News(ニュースサイト)

Gabは、極右や過激派のユーザー層が利用することで知られるアメリカのSNSサービス

Gabは2017年5月に公開され、インターフェースはTwitterに似ている。中央にタイムライン。右側に集約されたニュース、左側にメニューが表示される。

 

ネオナチ、白人至上主義者、高度右翼などの過激派の「避難所」として広く知られており、他のSNSから追放されたユーザーやグループを受け入れて勢力を伸ばしている。

 

Gabは言論の自由と個人の自由を促進すると主張しているが、これらの発言はオルタナ右翼や過激派のエコシステムの盾になっていると批判されている。

 

特に反ユダヤ主義的な内容が突出しており、同社自身もツイッターで反ユダヤ主義的なコメントを行っている。研究者たちは、Gabは「繰り返し、現実世界の暴力事件を引き起こしかねないほど結びつている」と書いている。

 

Gabは25以上のサービスプロバイダーから遮断されている。2017年、Googleはヘイトスピーチのポリシーに違反したとしてGabのアプリをGoogle Playストアから削除し、関連する理由でAppleのAppStoreから削除された。

 

2018年10月に発生したピッツバーグのシナゴーグ銃乱射事件で、容疑者であるロバート・グレゴリー・バウアーズが、銃撃前の予告メッセージをGabに投稿していたことが判明したことで、世間から非難を浴びた。その後、サイト自体が元のドメインホストであるGoDaddyから削除した。PayPalも送金サービスを停止した。

 

さらに、トブラは個人的に、オンラインバンク、暗号通貨取引所、Twitterからも禁止されており、彼の家族はVisaからブラックリストに登録されている。

 

2019年7月、Gabはソフトウェアインフラを、自由でオープンソースのソーシャルネットワークプラットフォームであるMastodonに切り替えた。Mastodonは抗議声明を発表し、Gabを 「言論の自由」という旗の後ろに隠れながら、人種差別的なコンテンツを収益化してプラットフォーム化しようとしていると糾弾した。

 

2018年10月、Voxは、Gabのユーザー数が465,000〜800,000人であると報告した。Fox Businessによると、2020年7月までに、このサイトには110万を超える新規累積登録アカウントがあり、世界中で月間370万の訪問者があった。

 

2021年1月8日にツイッターがトランプ大統領のアカウントを停止してツイッターの利用者が離れたあと、週末のわずか24時間で登録者数が750%以上激増したと伝えている。Gabにはトランプ大統領がすでにおりGabが公式に発表している)、このプラットフォームを利用するよう人々に呼びかけているからだ。

 

報告によれば土曜日だけで50万人以上の新規登録者があった。Gabはこの増加に対応するため新たに10台のサーバを設置したという。しかし、いまだに登録者やアクセス数が減らず、トラフィック対処に苦労しており、現在は不安定な状態が続いている。

 

さらに現在、Gabはソーシャル・ネットワーキングサービスだけでなく、インターネット自体についても新たな選択肢を構築中であるという。独自のサーバを所有している場合は以下のことをビッグ・テックから遮断されなくなる。

  • ホスティングサービス
  • 支払いサービス
  • アプリストア
  • ウェブブラウザ
  • メールサービス
  • eコマースプラットフォーム

これらは、何もGabだけでなくビッグ・テックの支配・検閲から逃れるために最低限の重要な知識である。

 

2021年1月13日、Gabはビッグ・テックの支配・検閲から逃れるためソーシャル・ネットワークサービスだけでなく

Gab-TV(動画共有サイト)

Gab Trends(SNSでのトレンド)

Gab News(ニュースサイト)

をチェックすることを推奨している。おそらく、今後アップルはSafari、グーグルはChromeなどのブラウザでGabを表示させないようにするかもしれないが、Gabそれに対抗するためのブラウザやメールサービス、新しいインターネットを提供するだろう。決済サービスやEコマースも同様に対抗的なものを構築するだろう。

イーロン・マスクへの呼びかけ


また、イーロン・マスクはトランプと大統領と彼の支持者に対するビッグ・テックの最近の検閲に対して「言論の自由の事実上の仲裁者としての西海岸のハイテクに多くの人々が不満を抱くようになるだろう」とツイートしており、TwitterのGab公式アカウントはイーロン・マスクに「It needs to happen. @elonmusk」というツイートとともに地球の軌道にある衛生の写真に「Call me. Elon!」という文字が書かれた写真を投稿した。

ブラジルの支持


2018年のブラジル大統領選挙の間、多くのブラジルの右翼政治ページは、サイトのヘイトスピーチのルールに違反したとしてフェイスブックから追放された。しかし、ブラジルの右翼たちの多くが、代替プラットフォームとしてGabを宣伝し始めた。

 

ボルソナロの支持者たちは、2016年ドナルド・トランプの選挙中に米国のオルタナ右翼の間で人気があった同じ主題の多くを宣伝している。

 

Gabの創設者であるトブラは、ブラジルの第一人者をGabに誘い込もうとして、ボルソナロへの支持を繰り返し主張してきた。「ボルソナロがGabに加わると、ツイッターはブラジルで死に、メディアはパニックに陥るだろう!」

 

その後、ブラジル人がアメリカ人に続いてGabユーザーの第2位の人口層となった。ジャイル・ボルソナロの政党である社会自由党は、Gabの公式アカウントを持っている。

  • 大手SNSから遮断された人々(特に右翼)の避難所
  • 1月6日の議事堂襲撃事件後、トランプのTwitterアカウントが停止されたあと急速にユーザー数が上昇。
  • ブラジルユーザーが多くボルソナロも公式に利用している

歴史


2016-2018


Gabは、広告テクノロジー企業Automate Adsで働いていたCEOのアンドリュー・トブラとCTOのエクレム・ビューユッカヤによって設立されたSNSである。

 

同サイトは2016年8月15日にプライベートベータ版が起ち上げられ、ツイッターやフェイスブックに代わる「言論の自由」の場を謳い文句にした。

 

トラブは、サイトを作った理由として、「完全に左寄りのビッグ・ソーシャルの独占」と、フェイスブックの保守的な記事に対する偏見の疑惑を挙げている。

 

トルバは、以前シリコンバレーで働いていたペンシルベニア州出身の「キリスト教の起業家でありアメリカのポピュリスト」であると述べている。

 

彼は、「ビッグテック、主流メディア、学者、米国議会の議員、外国政府、および修正第1条で保護された政治演説の検閲を拒否した政治団体に執拗にまみれている」と述べた。

 

Gab AI, Inc.は2016年9月6日に法人化された。2016年10月、ウッツァーヴ・サンドゥージャが最高執行責任者(COO)としてGabに入社。

 

トブラによれば2016年11月、大手ソーシャルメディア企業で起きた何人かの著名な右派アカウントのツイッターの永久凍結のおかげで、Gabの利用者数が大幅に増加したと述べた。

 

2016年12月、アップルはGabのアプリのiOS App Storeでの配信をポルノコンテンツを理由に遮断した。同時に、Twitterも理由を明記せずにGabのTwitter APIへのアクセスを遮断した。ポルノを遮断したアプリの改訂版も、ヘイトスピーチに関するルールに違反しているとして却下された。

 

2017年3月、GabはProアカウントを追加し、2017年5月8日にプライベートベータテストを終了した また、5月には、GabはGoogle Playストア向けにAndroidアプリの提供を開始した。 2017年8月には、GabPro会員向けにライブストリーミングサービス「GabTV」の提供を開始した。

 

8月17日、Googleはヘイトスピーチに対するポリシーに違反しているとして、Gabのアプリを「暴力を奨励し、集団に対する憎悪を擁護するコンテンツを含む、十分なレベルの節度を示していない」として、Google Playストアから削除した。

 

 

2017年9月、Gabはペンシルバニア州に本社を移転した。

 

2018年3月下旬の米国証券取引委員会(SEC)の提出書類には、トブラがフィラデルフィアのWeWorkのコワーキングスペースでGabを運営していたと記載されていた。WeWorkの広報担当者によると、トブラはGabではなく自分の名義で加入になっており、そこにいた期間は短かったという。

 

2018年10月下旬、Gabのスポークスマンはザ・フィラデルフィア・インクワイアラー紙に対し、Gabはもうフィラデルフィアに拠点を置いていないと語った。

 

2017年9月、Gabはドメインレジストラであるアジア・レジストリからデイリー・ストーマーの創設者のアンドリュー・アングリンの投稿を削除するよう圧力に直面し、Gabに48時間の猶予を与えた。

 

GabのCOOであるサンドゥージャは、2018年6月に同社を退社した。2018年10月にABCニュースのインタビューで、シナゴーグで働く妻がGabで働いていたときに晒しにされたり、死の脅迫を受けたりしていたと、サンドゥージャは語っている。

 

2018年8月9日、トルバはGabのホストであるMicrosoft Azureが、反ユダヤ主義を理由に共和党から追放された米上院議員候補のパトリック・リトルが投稿した2つの反ユダヤ主義的な投稿を削除しなかった場合、サイトを「数週間/月」停止すると告げられた発表した。

 

The Vergeによると、投稿は 「強烈な反ユダヤ主義を表現し、ヘイトスピーチのあらゆる合理的な定義を満たしていた」という。GabのTwitterアカウントはリトルが投稿を自己削除したと主張していたが、これはトブラが否定している。

 

リトルは2018年11月下旬、私人への嫌がらせを奨励したとしてGabから無期限の停職処分を受けた。Gabは、リトルのアカウントがヘイトスピーチを投稿していたが、それが禁止の原因ではなかったと強調した。

 

GabのSECへの提出書類によると、2018年9月10日までに約635,000人のユーザーがGabに登録されていた。

 

2018年9月12日、GabはFlippaでSedoからGab.comのドメイン名を22万ドルで購入した。それまではGab.aiというドメインを使用していた。

 

2018年10月上旬、アダルトコンテンツが原因でGabのStripeアカウントが停止された。

 

2018年12月、Gabはフロリダ州パームビーチで開催されたターニングポイントUSAの「学生行動サミット」のスポンサーを務めた。イベントの数日前、ターニングポイントUSAは説明もなくGabをスポンサーリストから外した。Gabは説明のない削除に抗議するプレスリリースを掲載した。

2018年ピッツバーグシナゴーグ銃乱射事件


2018年10月27日にピッツバーグのシナゴーグを襲撃した容疑者であるロバート・グレゴリー・バウアーズは、ネオナチのコードフレーズ「1488」とや検証済みのGABアカウントを所有していた。自己紹介欄には「ユダヤ人はサタンの子である」でと書かれていた。

 

バワーズが逮捕された後、Gabはアカウントを一時停止し、連邦捜査局(FBI)に連絡した。銃撃事件直後の2018年10月27日、PayPal、GoDaddy、MediumはGabとの関係を終了させ、PayPalは「憎悪、暴力、差別的不寛容の永続」に関与する可能性のあるアカウントの審査に基づいて終了させたとする声明を発表した。

 

その後、Gabは同日、GabのホスティングプロバイダーであるJoyentが10月29日午前9時(東部標準時)にサービスを終了することをTwitterで発表した。このツイートによると、サイトは数週間ダウンすると予想されているという。StripeとBackblazeも銃撃事件後にGabとのサービスを終了した。

 

Cabは銃撃事件の因果関係になることへの批判に反論し「Gabと私たちのコミュニティに関して、メディアの文脈により定義されることを拒否する」と発表し、Gabの使命は非常にシンプルで「すべての人々のためにオンラインでの表現の自由と個人の自由を守ることである。ソーシャルメディアはしばしば人間性の良いところと悪いところを引き出す」と発表した。

 

銃撃事件前、Gabは一般の人々にはあまり知られていなかったが、これを機会にメディアの注目を浴びた。

 

Gabの共同創業者で最高技術責任者のエクレム・ビューユッカヤは10月28日、「アメリカのメディアからの攻撃」を理由に辞任を発表した。

 

サイトがダウンした後、Gabのホームページは「攻撃を受けている」ためダウンしているというメッセージが表示され、Gabは一定期間アクセスできなくなった。レジストラ会社のエピック社がドメイン登録に合意した後、2018年11月4日にGabはオンラインに復帰した。

 

エピックのCEOであるロブ・モンスターは、Gabのネオナチユーザーを擁護し、Gab上のネオナチは 「自由の敵に口実を与える」ことを目的とした「リベラルな荒らし」であると述べていた。

 

Gabでは、クリストファー・キャントウェルがモンスターの主張に反論し、次のように述べている。「私たちはリベラルではありませんし、検閲を受けようとしている人たちでもありません。Gabを検閲しようとしている人たちは「共産主義者」であり、ナチスは彼らを相手にしようとしている唯一の人々だ。最終的には、誰もがどちらかの側を選ばなければならなくなるだろう。

2019-2020


2018年のピッツバーグシナゴーグ銃乱射事件の余波でPayPalやStripeからサービス拒否された後、Gabはクリプトカレンシーの決済処理サービスに転向した。

 

2019年1月、CoinbaseとSquare, Inc.のCash Appは、Gabとアンドリュー・トルバが保有していた口座を凍結した。

 

2019年1月22日、Gabはミシガン州に拠点を置く決済処理業者Second Amendment Processing(SAP)と提携したことを発表した。

 

Gabは2019年3月にSAPのクレジットカード決済機能を削除し、暗号通貨か小切手での支払いのみを受け付けることにした。同月、南部貧困法センター(SPLC)は、SAPの創業者が2007年に金融犯罪で有罪判決を受けていたことを明らかにした調査結果を発表した。Gabは、決済処理業者を削除した理由を述べていない