【作品解説】ぴろぴと「廃墟探検」

廃墟探検 / Exploring ruins

のろいちゃんとの運命的な出会い


概要


『廃墟探検』は2009年1月31日にYouTubeで公開された映像作品。9分57秒。タイトルが示すとおり、朽ち果てた古い木造の日本家屋内をホームビデオで主観的に撮影した廃墟探検作品である。

 

夜分に撮影していることもあって全体的に暗く、何が映っているがわかりづらいが、ときおり映る日本人形やアンティーク、女性用着物、日本刀などが不気味ながら耽美な雰囲気を漂わせている。

 

特に二日目の階段のない屋根裏で映し出される赤い着物や日本人形は、かつての赤線・青線地帯の「ちょんの間」を彷彿させ、また黒と赤の強いコントラストは、寺山修司やフォーヴィズム的な前衛芸術的な色彩感覚である。暗闇に干された赤い着物は「捕らわれた蝶」のメタファーだろうか。どこかシュルレアリスム的もある。

 

全体的に和製『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』といってもよいだろうが、単純なホラー映画ではなく、前衛芸術に造詣の深いぴろぴと氏ならではの芸術的な演出が見られる。

 

暗闇に突如あらわれる吊るされた着物。捕らわれた蝶、捕らわれた娼婦のメタファーだろうか。
暗闇に突如あらわれる吊るされた着物。捕らわれた蝶、捕らわれた娼婦のメタファーだろうか。

 そして映像の終盤、ぴろぴと氏の2010年以降の映像シリーズの主役となる日本人形「のろいちゃん」と運命的な出会いを果たし

 

「大切にします」

 

 

で映像は終わる。