中国共産党と中国人民解放軍

中国人民解放軍 / People's Liberation Army

中国共産党が所有する21世紀型軍隊


概要


中国人民解放軍は、中国共産党が所有する軍隊である。国が所有する軍隊でもなければ国民が所有する軍隊でもない。単に「中国軍」と呼ばれることもあるが、中国共産党が私的に所有する軍隊なので略す場合は「人民解放」や「PLA」と呼ぶのが正しい。

 

人民解放軍は、1995〜1996年の台湾海峡危機を契機として大幅に改善されている。特に2000年以降の兵器の質の改善と量の増加は目覚ましい。人民解放軍は、総合的な能力において米軍に追いつくまでにはいたっていないが米軍との差を縮小させる方向に推移している。

 

戦場までの距離の近い中国本土近傍(台湾、東シナ海)のみを支配するのであれば、人民解放軍に大きな利点を与え、米軍の任務遂行を非常に複雑にする。

 

ハリー・ハリス米太平洋軍司令官は2018年2月14日、「中国が急速に軍備増強を進め、間もなくほぼすべての分野で米国と競合することになるだろう。米国が遅れをとれば、太平洋軍は将来戦場で人民解放軍に苦戦を強いられることにある」と話している。

 

陸海空軍のみで戦うのであれば人民解放軍は米軍だけでなく、台湾や日本などの小国よりも脆弱な可能性があるが、これまで使われたことのない現代兵器(弾道ミサイル、衛星破壊兵器、サイバー・電子線能力)や超限戦を駆使して弱点を克服し、敵国の行動に大きな打撃を与えるだろう。

 

特に超限戦に各国は苦戦をしいられるだろう。超限戦とは、あらゆる制約や境界(作戦空間、軍事と非軍事、正規と非正規、国際法、倫理など)を超越し、あらゆる手段を駆使する「制約のない戦争」である。

 

正規軍同士の戦いである通常戦のみならず、非軍事組織を使った非正規戦、外交戦、国際テロ戦、金融戦、サイバー戦、三戦(世論、心理戦、法律戦)等を駆使し、目的を達成しようとする。善悪、倫理、国際法を超越して目的のために手段を選ばない戦法である。

 

中国人民解放軍は、陸軍・海軍・空軍・ロケット軍・戦略支援部隊の5軍を軍種とするが、正規軍たる人民解放軍とは別に、中国民兵中国人民武装警察部隊が中国共産党および中華人民共和国の武装力量に定められている

 

戦時において国民が軍を積極的に支援する。海上民兵や膨大な数のサイバー民兵である。中国の武装勢力は、人民解放軍のみではなく、人民武装警察部隊、民兵を含んだ総合的なパワーである。

 

今後、発生が予想される舞台はまず台湾である。習近平は、中国共産党創設100周年にあたる2021年までに台湾を占領したいと願っているという噂がある。

展望


アジアの覇権第一


中国共産党の国家目標は清朝最盛期の大中華帝国の再興である。その実現のための一環として、2014年6月のオバマ大統領との会談で習近平は、米中の「新型大国関係」を提案した。

 

中国にとっての「新型大国関係」とは、米中が対等の立場であることを前提として、各々の国益を認めること。特に中国にとっての核心的利益を認めること。つまり、チベット自治区や新疆ウイグル自治区、台湾などの中国の国内問題や東シナ海と南シナ海の領土問題に対して米国は関与しないことを要求した。

 

そして、「広大な太平洋は2つの大国にとって十分な空間がある」と発言し、太平洋を米中で二分することを提案した。

習近平が構想する国境をイメージ化すると上のようなものになるが、中国は近代民主主義国における「国境」という概念がもともとないため、実際はこの国境を中心に外部をグラデーションのように曖昧な形で支配していく予定である。政治家の買収、国土の買収、インフラの買収、大量の人口移動による漢化政策、政略結婚などがあげられる。固定された中国国境から曖昧なまま拡大する戦略を「戦略的辺境」と呼ぶ。対象国は日本、オーストラリア、太平洋諸島などである

戦略


「国家安全法」で国内の取り締まりを強化


国家安全法は、中国国内の政治・経済的安定および中国の対外的な安全保障に関わる各分野について定めるものである。おもに民主や自由を求める活動や表現、言論を規制する法案である。

 

施行直後の2015年7月9日、中国当局は中国本土で活動家ら数百人を一斉に拘束した(7・9事件(中国語版))。拘束された活動家の中には国家政権転覆罪で実刑判決を受けた人権派弁護士も含まれている。

 

 「香港国家安全維持法」 案は2020年6月に可決され、以降、香港では民主や自由を求める活動や表現、言論をほぼ壊滅となった。

短期決戦/相手が戦場に到達できないようにする接近阻止


人民解放軍は、米軍と本格的な戦争をしようとは考えていない。しかし一方で、短期で地域を限定した作戦を実施し、米軍が本格的な行動を開始する前に決着を付けるだろう。

 

人民解放軍が短期で地域限定の作戦対象にしているのは、台湾、尖閣諸島、東シナ海、南シナ海である。

 

米軍は現在、日本や韓国など一部の地域で前方展開を継続しつつも、有事に際しては米国本土から部隊を緊急展開する戦略を採用している。この米軍の緊急展開を阻止し、重要な地域の利用を妨害するのが人民解放軍の接近阻止・領域拒否戦略」である。

 

具体的には、米軍および米国の同盟国の軍隊の戦場への到着を遅らせる、米軍が作戦継続に必要な当該地域の基地の使用を妨げる、米軍の戦力投射手段(空母、戦闘機、爆撃機)を限りなく遠くに置くなどである。

 

この接近阻止・領域拒否戦略は、強大な米軍にいかに勝利するかを徹底的に検討した末に導き出された戦略であり、人民解放軍の接近阻止作戦を完遂するためにあらゆる手段、超限戦を駆使するだろう。米軍の行動を麻痺させるための超限戦はすでに行われている。たとえば、「中共ウイルスの蔓延」「米国内の分断」「バイデン政権」である。

 

さらに、弾道ミサイル、衛星破壊兵器、サイバー・電子戦能力などを使って米軍のアキレス腱を攻撃し、米軍の兵力展開の基盤となる基地(在日米軍基地など)、航空母艦、指揮・統制・通信・コンピュータ・情報・監視・偵察機能を封殺するだろう。こうした現代兵器で米軍の行動を妨害し、米軍は戦場にまで到達できず人民解放軍の作戦への介入を断念せざるを得ない状況にすることを狙いとしている。

 

中国は接近阻止のために4つの列島線を考えている。第一列島線と第二列島戦は、ソ連を封じこめるために米軍が設定した列島線と同じである。第三列島線は、アリューシャン、ハワイ諸島、ボリネシア、ニュージーランドを結ぶ列島線である。第四列島線米国西海岸である。

局地戦主義


中国のいう局地とは国境付近の陸の領域、海の領域、空の領域であり、日本の尖閣諸島や南西諸島は局地戦争に勝利する舞台となりうる領域である。

人民戦争


人民戦争論は毛沢東思想の核心的な考え方である。戦時において国民が軍を積極的に支援するとし、それは兵站、政治、作戦分野でなされる。要するに軍事作戦のために民兵、民間防衛、予備役の形で国民を動員するということだ。

 

現代の人民戦争はさらに複雑になっている。サイバー攻撃、五毛党による敵対勢力に関するソーシャルメディア上での嘘情報を書き込みと拡散、ハニートラップ、産業スパイ、留学生スパイ、敵国の不動産や資源地購入など日常における生活で静かに行われており、これらは「超限戦」の1つともみなされている。

非対称戦


弱者は強者に対して正攻法、戦闘機対戦闘機、戦車対戦車などの同じ兵器同士で戦えば負けてしまう。そこで弱者が採用するのが「非対称戦」である。人民解放軍が米軍と正面から対決するととてもかなわないので、米軍の弱い部分に対して戦いを挑む戦略である。具体的な例は、生物兵である。


中国共産党の生物兵器計画


新型コロナウイルスは中国共産党と人民解放軍が展開している軍民融合プロジェクトであり、機能獲得実験を通じて作り出された生物兵器である。

 

中国共産党の生物兵器計画は3つの段階に分かれている。秘密の軍事研究があり、その上に民間研究と大学があり層を形成している。この層が国際的なウイルス研究プロジェクトとの交流を可能にしており、

 

つまり中共は、軍民融合プロジェクトを通じて生物兵器の研究開発を行っており、彼らは民間の研究機関や大学を隠れ蓑にして、海外から知識や技術、資金を得ていたのである。「海外からの知識や技術、資金」はおもにアメリカである。海外から得たそれらの知識、技術、資金はすべてそれらはすべて中国共産党の計画にフィードバックされてしまう。

 

中国共産党の生物兵器計画の起源であり、伝統的な核心は、医学ではなく獣医学である。ある程度は農学も関わっており、1949年に人民解放軍が設立されたときに計画は始まっている。中国共産党は日本軍(731部隊)の生物兵器のアプローチを採用し、獣医学研究の中に生物兵器を組み込んだのである。

 

戦後、中国共産党は北京、成都、講習、南京、雲南などの地域の軍司令部とほぼ同じ場所に、軍馬健康研究所などの研究センターを設立した。1953年、5つの獣医学系大学が、かつての731部隊の所在地からわずか140マイル南の長春にある1つの大きな機関に統合された。

 

一方、パンデミックの震源地として最も注目されているのは武漢ウイルス研究所だが、ここでCOVID-19の研究が中心に行われている。周囲の複数の軍の管理施設と連携し、病原体の開発とワクチンの製造を両方を組み合わせた計画で行われた。

舟山コウモリウイルスの所有


 新型コロナウイルスが生物兵器である最もたる根拠となるのは、2018年に南京軍事科学院が発表した舟山コウモリウイルスである。

 

このコウモリは2015年から王長郡が舟山地域でコウモリの病原体を3年間探索する計画を体系的に実施し、発見され2018年に発表された。ZC45とZXC21は、2018年に重慶にある中国人民解放軍第三軍医大学で研究され、その後、行方がわからなくなった。

 

新型コロナウイルスのEタンパク質は、舟山ウイルスZC45 / ZXC21のEタンパク質と100%同じもので、舟山ウイルスは人民解放軍しか所有していないされている

 

Eタンパク質は五量体イオンチャネルであり、ウイルスの細胞内集合と放出に不可欠なものである。 Eタンパク質の欠失または変異は、コロナウイルスの病原性を大幅に低下させる働きがある。そのため、Eタンパク質は非常に重要な部位で強い病原性を維持するためには、新型コロナウイルスのEタンパク質を舟山コウモリウイルスのEタンパク質にする必要があった。

 

また、新型コロナウイルスのSタンパク質にはフーリン切断部位(Furin cleavage site)というウイルスの感染力を高める部位がある。この分離部位の特異な塩基配列は、この部位が単純に動物間での伝達や再調合を通じた自然な進化と思われない。

 

フーリン切断部位に舟山コウモリのZC45 / ZXC21のSタンパク質が挿入され、Sタンパク質が編集されている。この部分は自然由来のコロナウイルスには存在しないものである。従って追加挿入された配列にフーリン切断部位があることから、自然に進化したとは考えにくい。

生物兵器の解毒剤特許を取得


2020年5月28日の特許報告書で、ヒドロキシクロロキンが感染を抑制し、SARS-COV-2のウイルスゲノム複製を抑制できることが認められている。特許権者は中国人民解放軍軍事科学軍事医学研究院となっている。

 

人民解放軍はヒドロキシクロロキン(HCQ)の特許で利益を得ようとした。しかし、アンソニー・ファウチをはじめ科学者、科学雑誌、メディアなどの米国政府当局者が、HCQの早期使用を軽視した。

 

特許リンク

「発言権」や「世論戦」


今後最も重要となる超限戦のひとつに「発言権の戦争」がある。パンデミック以降、中共は、世界中のマスコミ科学界、国連、医療界の発言権を握ることが有利であることを自ら明らかにしてみせた。各分野を取り込み、自国にとって都合の悪い発言はすべて封殺し、利益になる発言をさせるよう誘導する。

 

某分野での発言権がもし邪悪な勢力に支配されれば、それは覇権となる。そして覇権を維持するためには、覇権同士が結託しなければならない。それによって、異なる分野の覇権同士がお互いに依存する関係が形成される。

 

そして、支配勢力があることに対して何らかの発表をした際、それに属している覇権団体がそれを支持する側に回り、国全体の発言権と決定権を独占する。

 

中共はパンデミックが起こったときからウイルスの発言権を握っており、彼らは科学雑誌を通じて偽ウイルスの情報を公開したり、ウイルスの自然発生を主張する科学者の共同書簡を【ランセット】誌に掲載したり、ウイルスの真実を意図的に混乱させる論文を次々と発表した。


人民解放軍の弱点


●人民解放軍の腐敗と現状

鄧小平は経済発展を重視し、人民解放軍大規模な削減を行った。1978年の430万から1989年には300万まで削減した。習近平は2017年末までに200万まで削減した。

 

この大規模削減が可能になった背景には、核ミサイルの開発がある。核抑止力により軍の大幅削減を行った。削減の受け皿として軍人による創業を促した。軍人の創業の成功例がファーウェイやワンダグループである。鉄道兵や建設兵の部隊が建築業に配置変えとなり、建設ブームが起きた。

 

しかし、この大規模な削減は副次効果を生んだ。軍隊の組織を会社移転することを認めビジネスを展開した。これが、人民解放軍の腐敗の大きな原因になった。ビジネスによる収入により、軍本来の任務を忘れビジネスにのめりこみ、結果として軍内で拝金主義や腐敗を加速させた

 

人民解放軍の腐敗は、軍の健全性を阻害している。国防費のかなりの部分を個人や組織が流用するようになった。国防費は世界第二位だが、腐敗で国防費が組織や個人にピンハネされているため全額が国防費に使われていない。軍のために実際に使われたのがごく一部のみであるという話もある。

 

そのため、ピンハネ業者によって実際の装備がかなり脆弱であると指摘されている。たとえば、2020年夏にインドと中国は国境線をめぐり小競り合いがあったが、その際、投石で人民解放軍の戦車が破壊されたという報道がある。


■参考文献

中国人民解放軍の全貌,渡部 悦和

・路徳社