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【書籍】「薬なしで生きる」岡田正彦

【書籍】「薬なしで生きる」岡田正彦


風邪ウイルスと発熱の関係


ほとんどの風邪は、ウイルスが原因となっています。ウイルスは細菌よりずっとサイズが小さく、マスクの生地なども簡単に通り抜けてしまうほどです。

 

とくに風邪のウイルスは、小さいだけでなく生命力も非常に高いため、空中を漂う水滴やホコリ、食べ物、あるいは手指などを介して簡単に体の中に忍び込んでいきます(これを感染といいます)。風邪が人から人へとうつりやすいのは、そのためです。

 

ウイルスは独力で分裂することができず、動物や人間の細胞に寄生して、栄養素や酵素などを借りる必要があります。一方、ウイルスに侵入された細胞のほうは、生命活動に必要なものを横取りされてしまうので、自分自身が生きていけなくなり、最後は破滅してしいます。

 

これが「炎症」と呼ばれる状態を起こします。風邪のひきはじめに誰もが経験する症状、たとえば咽の痛みや鼻水、鼻づまりなどは、すべてウイルスが引き起こした炎症によるものです。増殖したウイルスが気管支や肺にまで侵入すれば咳や痰、胃腸に達すると下痢や嘔吐などの症状になります。

 

また、炎症の範囲が広がるにつれ、プロスタグランジンという発熱物質が大量に作られるようになります。この物質は、やがて血液に乗って脳に達し、発熱中枢に作用して体温を上昇させます。

 

風邪の症状でもっとも困るのは、やはり発熱ではないでしょうか。高い熱が出ると、体が極度にだるくなり、寒気や吐き気、めまい、筋肉痛などの症状も伴うようになるため、いかにも重病という感じになります。

 

発熱は、ウイルスが体の奥にまで侵入して炎症が広がってしまった証でもあり、油断禁物です。

 

幸いわれわれの体は、ウイルスに侵されると同時に、免疫力が働き始めるようになっています。まず抗体ができ、ウイルスの増殖を抑えるための戦いが始まるわけですが、咽の痛みなどの軽い症状で治るか、あるいは発熱まで進行してしまうかは、この両者、つまりウイルスの強さと免疫力とのバランスで決まります。

 

発熱物質(プロスタグランジン)の分泌も、免疫の働きの一つとして起こるものである。体を守ってくれるはずの免疫反応でなぜ熱が出るのかといえば、それは高温に弱いウイルスの性質を逆手にとった、いわば人間の体の防衛反応になっているからです。

 

したがって、熱が出るのは本来、意味があり、風邪から早く回復するために大切なことなのです。

風邪薬アセトアミノフェン常用の副作用


アセトアミノフェンは、一般用、医療用を問わず、多くの医薬品に配合されています。この薬が評価が高いのは、効果に比べて副作用が少ないからです。

 

解熱剤の多くは、プロスタグランジンの分泌を抑えることで効果を発揮するようになっていて、そのことが胃腸障害という副作用を起こす原因にもなっている。昔から風邪薬は食後、異薬と一緒に飲むことになっているのはこの理由である。

 

セトアミノフェンはそのような作用がなく、胃痛になることは少ない。さらに、発熱によって興奮している脳を鎮める作用もあり、のんだあとにぐっすり眠ることもできる。風邪薬を飲むと眠くなるというのはこの脳を鎮める作用があるためです。その傾眠副作用に対して風邪薬にはカフェインが入っています。

 

アセトアミノフェンは、鎮痛作用もあり、痛み止めとして使われている。脳の中枢に働いて痛みの信号をブロックするという作用があるからで、そのため鎮痛・解熱剤ともよばれている。慢性的な頭痛などの痛みに悩まされている人がアセトアミノフェンを常用している人が多い。

 

しかし、北欧でアセトアミノフェンを服用した量と、慢性腎不全の発生率を比べてみると、アセトアミノフェンを生涯に500グラム以上服用した人は、慢性腎不全になる割合が3.3倍高かった。500グラムとは毎日1年間飲み続けた量ぐらいです。

 

そのため、アセトアミノフェンを風邪のとき以外にも常用している人は慢性腎不全の注意が必要です。

胃腸薬プロトンポンプ阻害薬常用の副作用


胃腸の「炎症」は、風邪ウイルスでも述べたとおり、ウイルス感染などが原因となって起こります。ただし胃腸の場合、ウイルス以外にも細菌感染、薬の副作用、食中毒、飲みすぎ、食べすぎ、タバコ、ストレス、ヘリコバクター・ピロリなど多彩な原因があります。

 

「潰瘍」は、炎症が発端となって粘膜が障害され、そのために壁の一部が胃酸(強い消化液)で消化されてしまうという病気です。

 

「ポリープ」は原因不明で、壁の細胞が増殖してコブのようになったものです。がんとは性質が異なり、無制限に大きくなっていくということはありません。

 

胃腸は、収縮運動を繰り返しながら食物を消化・吸収するというのが仕事で、それをコントロールしているのは自律神経です。胃腸に何か事件が発生すると、自律神経は過敏に反応するようになり、結果的に強い収縮をもたらします。

 

このような状態で感ずる症状の一つが腹痛です。腹痛に対して、風邪薬などの鎮痛・解熱剤は効きません。それどころか逆効果になります。

 

腹痛の薬は、鎮痙剤(胃腸の痙攣を抑える薬)とよばれ、食中毒や胃・十二指腸潰瘍など、強い痛みがあるときにつかわれます。

 

胃・十二指腸潰瘍の薬として国際的に使われいてるのはプロトンポンプ阻害薬です。鎮痛・解熱剤の副作用の胃腸薬で使われている薬です。

 

ところが、プロトンポンプ阻害薬を一年以上飲み続けると骨粗鬆症になり、骨折を起こしてしまう人の割合が22%も高まるという結果が出た。理由は、これらの薬がカルシウムの吸収を阻害するからだという。